【東京喰種】モノクロ狐 part５【男主】

#208《もし》 ページ17

･



「もし、俺が死んだらお前はどうする？」


まだコサメにもコウにも会っていない、２区を襲撃する前の話。夜のネオンが光るビルが影乃にはお気に入りの場所であった。

こちらを見る影乃は無表情なのに不自然に口だけ弧を描いていた。




「･･･そんなの、死なねーとわかんねェ･･･スよ」


「だよなー、そん時は泣いてくれよ」



月に一度影乃は涙を流す。それが誰に対してなのかは分からないが、必ず線香代わりに立てるタバコを愛用している人物であったのは足りない脳でも分かった。



「オレが死んだら、ラクさんはどうする･･･スか」


「そしたらお前を喰って力に変えてやるよ」


ケタケタ笑った後影乃はコブを見つめる。その顔は口も笑っておらず、無表情だった。



「俺が死んだら俺を喰ってくれよ

死んで好き勝手に利用されるなんて真っ平御免だからよ」



制御する事が出来ない赫子をどう喰べろと小さい脳がオーバーヒートするぐらいコブは考える。その姿に影乃はひっそりと微笑んだ。

#209【暴走】→←#207【絶望】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す