【東京喰種】モノクロ狐 part５【男主】

#206【三盾】 ページ15

柳下side



今日がワシの最後かも知れん。霞(かす)む視界で“野狐”の姿を逃さない。



「柳下チャんよォ！！俺を殺スんジャねーノ？！」



奴の赫子のテクニックは“喰種”最強と言うべきか、一歩も付け入る隙を見せん。これはスタミナ切れを狙うしかないのか。




「ヤベ、スタミナ切れソう」


ワシもスタミナが切れそうだ。胸ポケットに入れた家族の写真を握りしめ、部下たちに指示を出す。



「総員！下がれ！！」


振り向いた時には数名の部下は首が────無かった。




「腹ヘリ、飯の時間ダ」


普段残すはずの首をデカい口からひとつずつ丸呑みをする。頭に血が上り、目の前が真っ赤に染まったように熱い。



「貴様ァ！！！！」


クインケを握りしめ、奴に向かおうと身体を向けると、後ろから何者かが飛び出る。奴の尾赫が再び襲う前に輪切りにされた。



「楽！！わたしが相手だ！」



「最っ高かヨ！！！自ラ来るナンて！！！」




日乃喜怒(ひのきど)は確か丸手の傍に待機していたはずだ。なのになぜ────いや、“野狐”の名前を知っているなら知り合いか。



「三盾！来イ！！」



“野狐”が叫ぶと同時に三つの影が飛び出る。猿の面をつけた“喰種”が二体、犬の面をつけた“喰種”が一体。内側から混乱を起こす気なのか、奴の傍に出なければ“野狐”の仲間とは気付かんかった。




「こノ日の為ニ育て上ゲタ、俺の盾ヨ

たーント味ワえ、俺の恨ミヲよ！！！」



部下を喰べ、スタミナが戻ったのか“野狐”の赫子は更に増え膨張する。



「テメーら訓練通リヤれよ」



“野狐”の手下は未知数だ。逆に日乃も“野狐”にとっては未知数のはずだ。



この戦い、どちらが生きるか(勝つか)。

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