これをきっと恋と呼ぶ【轟焦凍】 (ページ40)

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「A様、おかえりなさいませ」

「お母様いるでしょ、今は蓮でいいよ。友達連れてきちゃった」

俺と話していたときとは少し変わって作られた低めの声。
門をあければメイドがいて、ぺこりと頭を下げた。気づかなかったがなかなかの豪邸だ。
手入れの行き届いた庭には薔薇の花がこれでもかと言うぐらいに生い茂っている。

「薔薇、トゲあるから触っちゃダメよ？」

ふと耳元で聞こえるのはいつもの鈴を転がしたような声で、知っているAがそこにいるのだと安心してしまう。

「すげぇ綺麗だな、この庭」

「お母様がお花好きなの」

数十メートルある門から建物までを薔薇に囲まれて歩き、大きな門がメイドの手によってギギギと開かれる。

焦凍の家もなかなかの大きさで和の要素がふんだんに使われた日本家屋だが、Aの家は焦凍の家の倍の敷地はあるであろう建物にシャンデリアや赤いカーペットなど洋式のおそろのような家だった。

「蓮、帰ってたの」

「 … ただいま、お母様。以前話した友人だよ」

「蓮がいつもお世話になっております」

「今日からお父様と海外だろ？いってらっしゃい、怪我しないようにね」

「蓮は心配症なんだから … いってきます」

数人のメイドを引き連れて家を出て行ってしまった綺麗な女性。あれがAの母親か。

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