これをきっと恋と呼ぶ【轟焦凍】 (ページ20)

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「他の人に言われるのはあまり好きじゃないけど、焦凍に言われるのは嫌いじゃないの」

変よね、なんて満更でもないと言わんばかりの表情を浮かべて呟いた。

「苺のパンケーキとアイスティーでございます」

「ありがとうございます」

運んできてくれたのは女性のウェイトレスだったが、感謝の言葉を述べ嬉しさを耐えきれないように笑みを零すAの表情を見て、体を硬直させたのは彼女も同じだった。

男だけでなく女までもを惑わせてしまうような彼女のような人のことを世間では魔性の女という呼び方をするのだろうか。

「こういうの食べるの初めてなの、いただきます」

俺と何かをするたびに彼女は「初めてなの」と嬉しそうに、だけどその表情の裏には何かを隠すような色を見え隠れさせながら笑う。

嬉しそうにパンケーキを頬張る彼女を見て幸せだと感じた。それと同じように彼女も幸せと感じてくれていたのだろうか。
美味しい美味しいと子供のように繰り返し、口いっぱいにパンケーキを頬張って今にも蕩けそうな表情でぺろりとパンケーキを平らげる彼女はいつもの凛とした雄英の華と言われる彼女ではなくて、年相応またはそれ以下の可愛らしい女の子だった。

「美味かったか？」

「ええ、とっても」

ストレートのアイスティーを口に含んでカラカラと氷をストローで突く彼女。

「幸せってこういうことね。焦凍といるといろんなことが知れて嬉しいわ。」

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