これをきっと恋と呼ぶ【轟焦凍】 (ページ13)

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恥ずかしげもなく、自分の顔を見つめながら褒める彼女の言葉を嘘だとも思えずすんなりと飲み込む。

自分の顔を綺麗だと思ったことはなく、度直球に伝えられた言葉に少し戸惑っていたのも事実。
自分のオッドアイの片方は父親と同じ色の目をしていたから嫌いだったはずだったのに、そんな一言だけで心が少し軽くなるような、浮き足立つような感覚だった。

「全部顔に出ちゃうのね、轟くんって」

くすくすと小さく肩を震わせて、微笑を口角に浮かばせた。
彼女は知らなかった。
このように純粋な心を持ち合わせる年頃の男の子がいることなんて。自分の周りに寄ってきていた男達は全員下心が見え見えで、顔を逆さに撫でられたような不快感を感じていた。

だけど、焦凍はどうだろうか。

下心なんて一切見せずにキラキラとした眼差しで純粋に私を知りたいと好奇心をいっぱい含んだ瞳を向けていた。Aが綺麗だと言ったのはなにも容姿に限った話ではない。
左目と右目のコントラストや、視線に含まれた意味も込めての綺麗という一言だった。
外見だけを見て褒めるというのは自分が極めて嫌いな行為であり、失礼であると自分が一番に感じていたからこそのことだ。

「私たち、友達になりましょうか」

友達になろうと言われて友達になったのは初めてのことだった。
焦凍にとっての友達とはいつの間にかなっているものであって、言葉に表すようなものではないと知っていた。
だけどAは友達をつくったことがない。そんなAに焦凍が歩み寄り、合わせてあげなければいけないことは明白だった。

「ああ、よろしく」

そう笑い返せば、Aは満足そうに、嬉しそうに笑った。

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