これをきっと恋と呼ぶ【轟焦凍】 (ページ11)

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011. ページ11

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「今日も来たんだ」

「なんか気になって」

今日は空を見上げるでもなく、フェンスに背を預けて本を読んでいた。
伏せられた瞳、濃密な睫毛は目の下に影を落としていた。

「 … 幸せって人それぞれだから、俺はAさんがどうすれば幸せになるかわからない。」

「真剣に考えてくれたのね」

嬉しいなあ、と笑う彼女は嬉しそうだがどこか寂しそうで、そんな瞳に目も心も奪われていた。

「私、学校でなんて呼ばれてるか知ってる？」

「 … 雄英の華ですか」

「知ってたのね。全然花なんかじゃないのよ、私。 … 昔からこの容姿が嫌いでね。
顔のせいか私の性格のせいかはわからないけど友達ももうずっといないし、勝手にイメージ作られて遠ざけられてもね」

もともと焦凍自身も友達が多いほうだとは思っていなかった。

むしろ少ないほうであることは自覚していた。

だけど友達がいないと嘆く人に出会ったのは初めてでどうしてやれば良いのかも自分にはわからない。
それに自分は顔が綺麗だから友達がいなかったわけではなく、自分の性格が人を寄せ付けなかったからだということは明確。

この人とは少し種類が違うと感じていた。

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