盲愛アドレセンス ⅲ (ページ33)

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124 : 隠していた「恋心」ページ33

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「 … 好きだよ。何年も前から、兄として見たことなんてない」

なぜそう答えたかはわからない。

誰にも話したことのなかった胸の中の思い。
勝己くんとはいえ人に話すことで一人で抱えていたものがなんだか少し軽くなったような気がしたのは事実だ。

「だろーな … 見てりゃ分かるわ、あいつは知ってんのか？」

「知るわけないでしょ … 知ってたら一緒になんていてくれない」

気持ち悪いでしょ、血縁関係にある人に想われてもと付け足せば、勝己くんは否定とも肯定とも取れない言葉を並べた。

「気持ち悪いとかも思わねェけど、アイツはそれ知って離れていくようなやつじゃねェだろ」

「そんな確証ないもの。それに同情かなとか思いながら生きるのも嫌なの」

「まァ、なにに関してもだが頑張りすぎんなよ」

いつのまにか二人のグラスと私のお皿は空っぽになっていて、お会計の紙を持ったのは勝己くんだった。

お財布を出そうとすれば阻止されてしまい、鬼のような形相で睨まれる。

「話聞いてもらってばっかだったから出します」

「俺がここまで連れてきたんだからいい」

「でも」

「じゃあ今度、自主練付き合え」

思いがけない誘いに首を縦に振る。

焦凍との訓練でも十分すぎるほどに鍛えられるが、違う個性の人と戦うことも必要ではあると思う。

いいよなんて明るく振る舞えば、
「俺の前で貼り付けた笑顔浮かべんじゃねェ」と怒られてしまった。

本心で笑っていたつもりなのに笑えていなかったのだろうか。

笑顔がヘタクソなのだろうかと心配にもなるが、勝己くんが言っているのはそういうことなのだろう。

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