盲愛アドレセンス ⅱ (ページ38)

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088 : 拭いきれない問題ページ38

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片付けをしている途中も兄の言葉がずっと心に刺さっていた。

わからないわけないでしょ。
なつ兄がお父さんのことどう思ってるか、姉さんが今どれだけ頑張ってるか。わからないわけないでしょ。兄が私を最高傑作と呼ぶときは皮肉が込められている。

でもなつ兄は私の気持ちもわからないでしょ。

私たちの気持ちは私たちにしかわからない。
分かりあわなくちゃいけないわけじゃないけど、ああも皮肉めいた言葉をかけられていい気はしない。

「私だって夏みたいな気持ちがないわけじゃないんだ … 。
でも … チャンスが訪れてるんだよ … 焦凍とAはお父さんのことどう思ってるの？」

「この火傷は親父から受けたものだと思ってる。お母さんは堪えて堪えて … あふれてしまったんだ。
お母さんを蝕んだあいつをそう簡単に許せない … でもさ、お母さん自身が今乗り越えようとしてるんだ。
正直 … 自分でもわからない。親父をどう思えばいいのか。まだ … 何も見えちゃいない」

「私はさ鍛錬も勉強も強いられて、焦凍以上の結果求められて本当はすっごい苦しいけど、でも家族がいるから頑張れるの。
… お父さんを許す許さないとかじゃなくて、お父さんが歩み寄ってくれてるんだから私もちゃんとそれには答えたい」

なつ兄も姉さんもお父さんにはいい思い出なんて本当に全然ないはずなのに、それでもちゃんと考えようとしてる。

これからの轟家を、これからの未来を。

その気持ちだけで今は十分だと思う。

お父さんだってそんな急速な変化求めてないし、急に結果が出るとも思ってないと思う。
私たちは私たちのペースで、ゆっくりと進めばいいんだと思う。

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