光の温度１

６．開始 ページ6

朝、リハビリ室で松永さんと待ち合わせ。



時間どおりに来たつもりだけど、松永さんはいなかった。

もうそろそろ来るかな？

キョロキョロしていると、後ろから話しかけられた。


「松永さんでしょ。」


振り返ると、内田さんだった。


「え？あ、そうです。ここで待ち合わせしてたんですけど。」


わー、内田さんに話しかけられちゃった。

この距離…緊張する。


「さっき呼び出しくらって、事務室行ったよ。すぐ戻ってくるから伝えてって。」

「あ、ありがとうございます。」

「いいえ〜。」

「あ、内田さん。初めまして。実は私も、ドイツでサッカーしてまして…」

「レバークーゼンでしょ。」


え？知ってるの？


「村山さん悪い、待たせた。ちょっと呼び出しくらっちゃって。」


松永さんが、息を切らして現れた。


「あ、おはようございます。大丈夫です。」

「内田、サンキュ。」

「じゃ、続きやりまーす。」


内田さんは自分のリハビリに戻っていった。







松永さんが来たので、私もいよいよスタートだ。




まずは、左足の治療が最優先。

電気や超音波、温熱等の治療で、患部の早期回復を促す。

再発しないよう、きちんと治さなきゃ。

随時、検査も行いながら、結果に合わせて、少しずつ負荷もかけていくこととなった。




そして、左足以外の筋力トレーニング。

オフの日以外は練習や試合があるわけだから、必然的にトレーニングをしていることになる。

でも今は激しい動きはできないから、こうやって人工的に体を作っていかなきゃいけない。

ずっと継続していた運動量が、途端に無くなるわけだから、かなりの筋トレをしないと体は衰えていってしまう。

スポーツをしていない普通の体に戻ることなんて、あっという間だ。

一日、一日、真剣に取り組んでいかなきゃな。




今回の怪我で、怪我をしにくい体作りというものにも、きちんと取り組んでいかなきゃなと実感した。

体幹トレーニングはしっかりと、そしてリハビリが終わった後もきちんと続けていくことにしよう。

やることは、山積みだ。

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