光の温度１

３４．彼女 ページ34

昼休み、手続きの件で事務室へ呼ばれた。

話も終わり、事務室を出てロビーを歩いていると、誰かが隠れながらカフェの方を見ているのが見えた。

西島さん達だ。


「西島さん、こそこそ何してるんですか？」

「村山さん、シーッ。静かに。」

「あれあれ。」


ん？綺麗な女の人。

と、顔が見えないけど、こっち側に座っているのは、多分…

内田さん？


「あれ、うっちーの彼女。」


え、彼女？


「美人だよなー。さすがうっちー。」

「顔もちっちゃすぎ。笑ってるよー。麗しっ。」




あー…。



そっか。



うん。



そっか、そっか。



彼女ね。



うん、彼女いるよ。



うん、うん。



あの素敵な内田さんだもんね。



いないわけないじゃん。




「いいよなー。俺もあんな綺麗な彼女欲しい。モデルとかかな。」

「一般の子らしいよ。」

「マジで？すげー。あんな子、普通にいちゃ駄目でしょ。」




本当に綺麗。



男の人は、みんな好きになっちゃうんじゃない？って位、綺麗。



あんなに美人な彼女がいるなんて、さすが内田さんだな。



…。



内田さんに彼女がいるなんて、当たり前じゃん。



むしろ、いない方がおかしいって。



うん。



でも、そっかー。そうなのかー。








彼女さん笑ってる。



内田さんも、同じような顏してるのかな。



久しぶりに会えて嬉しいねとか、話してるのかな。



二人とも、幸せなんだろうな。








ズキズキズキズキ…。



苦しい。



息が、うまくできなくなってきた気がする。



ちょっと、やばい。



私は、その場を立ち去り、トイレの個室にこもった。



深呼吸しなきゃ。



フー、ハー、フー、ハー。



落ち着け、落ち着け。



ゆっくり、呼吸しよう。



フー。









よかった。少し、ましになってきた。



長く見過ぎちゃったな。



初心者には、刺激が強すぎた。









…さっきまで、すごく楽しかったのにな。



パワーを貰って、やる気に満ち溢れてどうしようとか喜んじゃって。



好きな人ができたら、こんなにも素敵な毎日を送れるんだって、感動してたのに。








恋って、いいことばかりじゃないんだね。


こんな気持ちも、受け止めなきゃいけないんだ。


辛いな…。

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