光の温度１

１３．から揚げ ページ13

内田さんに吐き出したら、なんだか気持ちも軽くなってきて。

入所してきたあの頃より、大分前向きになってきた気がする。

相変わらず治療とトレーニングとリハビリ漬けの毎日だけど、気分が違うよ。









嬉しいお食事タイムがやってきた。


由紀さんと一緒に食堂へ向かう。

短い至福のひと時だ。

今日のメインは鶏の唐揚げ。

美味しそうー。


「「いただきます。」」



「お疲れ〜。」


あ、内田さんだ。


「うっちーお疲れ。」

「お疲れ様です。」

「腹減ったー。」

「今日もすごい量だね。」


ほんとにすごい量。

どこに入っていくんだろう。

お相撲さん？


「いや、逆に小泉さんの量、少な過ぎでしょ。Aも、それだけで足りるの？」

「はい、十分です。」

「沢山食わないと、いい体作れないよ？」

「うっちーと一緒にしないで。みんなうっちーと同じくらい食べてたら、太っていく一方だから。」

「そう？」


確かに。

由紀さんは少し少食タイプだけど、私は普通に食べるもんな。

内田さんのあの山盛りご飯は、ほんとにすごいよ。

他の男子選手の方々も、内田さんほど食べてる人はなかなかいない。

すごいな。


でも、そんな風にモリモリ食べてる姿は、見てて気持ちがいい。

ふふっ、満足そうに食べてる。

食べてる内田さん見るの、楽しいな。


「何A、ずっと見て。あー、分かった。もうほとんど食い終わっちゃったから、俺の唐揚げ狙ってるんでしょ。」

「ち、違います。」

「だから量少ないって言ったんだよ。仕方ねーなぁ、ほい。」


内田さんは、最後の唐揚げを私にくれた。


「それ俺の大好物だから。最後の一個分けてやったんだから、心して食えよ。」


う、内田さんの箸でつかまれた唐揚げ…。

食べるの恥ずかしい。

でも食べないのも失礼だし…、えいっ。

もぐもぐもぐ。

…。


「美味しいです。」

「やっぱり食いたかったんだ(笑)」

「違います(笑)」


なんか、自分の分より美味しい気がする…。

なんで？

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