スイートスポット 1 ページ47
最初は本当に些細な事だった。
廊下ですれ違うときに会釈をしてくれたり、放課後時間のあるときに雑談をしたり、友達と呼ぶのか悩む、そんな曖昧な関係。
勿論悪い気なんてしなかった。
会話ができる存在が増えるって、とても貴重な事だし、私にとっては小さな楽しみの１つだった。
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「立花さん」
学級日誌を職員室に提出した後、教室に戻る廊下を歩いていると後ろから声をかけられた。
最近よく聞く声、私は躊躇うことなく振り向いた。
「部長さん」
野球部の部長。苗字よりもなんだか呼びやすくて、でも役職を呼び捨てにするのもぶっきらぼうな気がして、何となく"さん"を付けて呼んでいる。
「もしかして日直でしたか？」
えっ、どうして分かったんだろう。
「職員室から出てくる姿を見かけて、早歩きで追いかけたので…」
と、はにかんだ。
なるほど。1人心の中で納得していると
「あっ、ストーカーをしていた訳じゃないですよ？！決して怪しい者では......」
と慌てながら訂正しだした。
コロコロと変わる仕草に何となく脳内に子犬が思い浮かび、思わず笑ってしまった。
「そこまで疑わないですよ。私、全然気が付かなくて。早歩きさせてしまってごめんなさい。疲れませんでしたか？」
「全然大丈夫です、運動部だから。……って、いや、あの、今回は雑談をしにきた訳じゃなくって！」
忘れ物を取りに抜けてるからすぐに戻らないといけないんだった…と呟き、また慌てだす部長に、私は内心(よくこれで部長が務まるな...)なんてとても失礼な事を考えていた。
「あのっ、今度の休みの日、少しだけ時間を貰えませんか？！」
時間？
「もうちょっと落ち着いて話がしたいんです。立花さんと……2人で」
私と2人で？
「あっ、先約があればもちろんそちらを優先してもらって構わないんで！もし良ければですけど…」
じっと部長の顔を見つめていると、雲が動き夕日の光が窓から差し込んできて、部長の顔を染め上げていった。
私も少し眩しくて目を細める。
細めた目の隙間から、またへにょ、と表情を変えた部長の顔が見えた。
眩しそう。
「…あの…立花さん？」
「あっ、ごめんなさい。部長さんの顔見てました。次の休みですよね…日曜日の午後なら空いていますよ」
えっ…と言葉に詰まる部長。
「都合悪かったですか？じゃあ来週…」
「あっいえっ！それで！大丈夫です！はい！」
力が抜けたのか、ヘヘッ、と息を吐きながらくにゃ、と笑った。
続く (更新停止中)
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ももこ(プロフ) - りさん» り さんコメントありがとうございます！最近あまりここに来ないので完結してるやつ公開しますね！ (2020年6月14日 20時) (
レス) id: 76860029bd (このIDを非表示/違反報告)
り(プロフ) - 短編集めとても面白かったです！ももこさんが良ければ他の作品も是非公開していただきたいです！ (2020年5月14日 16時) (レス) id: c14adf3578 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 五一ミリアさん» ありがとうございます！本当に嬉しいです……！秘密会議！は合作の話し合いの場で、未定はまだ何も書いていないんです(;_;)ハロウィンのやつ公開させてもらいますね！ (2018年3月18日 20時) (レス) id: 9ec7cb08ca (このIDを非表示/違反報告)
五一ミリア - すみません『秘密会議！』と『Halloween*SweetNight』と『未定』のパスワード教えてください。 私ももこさんと作品もっと読みたいです。 (浜田組が読みたいです。) (2018年3月4日 0時) (レス) id: 60e64b8716 (このIDを非表示/違反報告)
五一ミリア - ももこさん尊敬します。私は、探偵チームKZのファンです！短編集めを今日読んだのですが…ハマってしまいももこさんの作品すべて今日一日で拝読させていただきました。私は、まだまだ未熟ものですが、ももこさんの作品は、素晴らしいものだと思います。 (2018年3月4日 0時) (レス) id: 60e64b8716 (このIDを非表示/違反報告)
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