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帰り道、アーヤを送りながら並んで帰る。



「良かったね、雨止んで」


「本当にね。まだ曇ってるけど」



そう言って空を見上げる彼女は少し悲しそうだった。



「…ねえ黒木君」



不意に名前を呼ばれ、思わず立ち止まる。



「何?」



「今日、楽しかった?」



突然の質問に驚いて目が開いたのが自分でも分かった。


「どうして?」



「なんだか、すこし悲しそうな顔をしてたから」


そう言うアーヤの顔の方が悲しそうだよ。



そんな風に軽く流したかったけど、あまりにも真剣な目をするから本当の気持ちを答えなければいけないような気になってしまう。


黙ったままの2人の間に湿った風が抜ける。


「…ご、ごめんね。祝った人間に対して答えづらいよね。帰ろ」



誤解だ。


慌てて目を逸らして歩き出すアーヤの腕を掴んで、体を自分の方に向けさせる。



「どんな顔していいか分からないんだよ」



その言葉を聞いたアーヤは、目をまん丸にして俺の顔を見た。


「…喜んでいいのかな、って」



どうしていいのか分からない。と、純粋な気持ちを答えた。


笑うのか、泣くのか、それとも照れ臭くて怒るべきか分からない。


今の状態も、なんだか自分らしくなくて嫌な気分だ。


ああもう、どうすればいいんだ。


頭の中がぐちゃぐちゃになって、目を伏せる。



「…笑えばいいんだよ」


びっくりしてアーヤを見る。


「だって誕生日だよ?素敵な日なのに、喜んでいるからって怒る人なんていないよ。もし黒木君が喜んでいることに怒っている人がいたら」



「そしたら、私が怒ってる人の倍お祝いしてあげるから」



そう言って照れたように微笑む。



「…本当に?」


「うん、本当に」


「来年も?」


「来年も、そのまた先も」


自然と頬がゆるむ。


彼女の口角も一層上がる。



垂れ込めた重たい雲の間から一筋、光がこぼれた。

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ももこ(プロフ) - りさん» り さんコメントありがとうございます!最近あまりここに来ないので完結してるやつ公開しますね! (2020年6月14日 20時) (レス) id: 76860029bd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 短編集めとても面白かったです!ももこさんが良ければ他の作品も是非公開していただきたいです! (2020年5月14日 16時) (レス) id: c14adf3578 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 五一ミリアさん» ありがとうございます!本当に嬉しいです……!秘密会議!は合作の話し合いの場で、未定はまだ何も書いていないんです(;_;)ハロウィンのやつ公開させてもらいますね! (2018年3月18日 20時) (レス) id: 9ec7cb08ca (このIDを非表示/違反報告)
五一ミリア - すみません『秘密会議!』と『Halloween*SweetNight』と『未定』のパスワード教えてください。 私ももこさんと作品もっと読みたいです。 (浜田組が読みたいです。) (2018年3月4日 0時) (レス) id: 60e64b8716 (このIDを非表示/違反報告)
五一ミリア - ももこさん尊敬します。私は、探偵チームKZのファンです!短編集めを今日読んだのですが…ハマってしまいももこさんの作品すべて今日一日で拝読させていただきました。私は、まだまだ未熟ものですが、ももこさんの作品は、素晴らしいものだと思います。 (2018年3月4日 0時) (レス) id: 60e64b8716 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ももこ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年5月9日 0時

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