Dog fight 2 ★ ページ23
翼が走り寄ってきて、制服の上着を脱いで私に渡した。
「終わるまで持ってて。絶対勝つから」
な、何で翼までやる気なの…？
土の上に書いたコートに皆が入る。
皆から本気モードのオーラが伝わってくる。
「絶対勝つぞ！アーヤ雪辱戦だ！」
…えっもしかして私の胸の為に戦ってるの？
複雑な気持ちでコートを見つめると、男の子の友達がボールを取り出した。
「ドッヂボールで全員倒れたら負け、ボールは」
そう男の子が言って、空へ高く上げた。
近くにいた上杉君が走ってジャンプして手を伸ばす。
でも、男の子はそれより早くジャンプしてバシッと後ろに飛ばした。
「クソッ、卑怯な手を使いやがって」
上杉君は悔しそうに男の子を睨むけど、男の子はニヤッと笑った。
「俺もプライドの為の雪辱戦だから」
そのまま始まったドッヂボール。
ボールは速くて、見ているだけで怖い。
コートの中にいたら絶対1番に当たってただろうな。
男の子のチームが豪速球を投げる。
それを若武が全身を使ってキャッチする。
わ、すごい！あんなの取れるんだ。
そのままめいっぱい腕を振って球を投げ、相手に当てた。
相手が外野の方へ投げたボールがコートの上を飛ぶ。
わ、外野に行ったら厄介だよ。
ハラハラしていると、黒木君が腕を伸ばしてしっかりキャッチする。
そのまま相手のコートに投げるかと思いきや、同じように高く上げ、外野の小塚君に回した。
小塚君は受け取って素早くバシッと当てる。
連携プレーだ！
思わず拍手しそうになってきゅ、と手を握る。
翼もあの細い腕からとてつもない速さの球を投げる。
忍も楽しそうに制服のスカートを翻しながらボールを投げる。
ああっスカートなのにあんなに脚広げて！
相手チームの人が何人か忍のスカートに釘付けになっている隙に、上杉君がしっかりボールを当てる。
夕陽がほとんど見えなくなって、反対側の空が青くなる頃には相手チームはすっかり当てられて、探偵チームKZの大勝利。
嬉しくなり、コートに走り寄る。
皆日頃の鬱憤を晴らしたかのように晴れ晴れとした顔だった。
「よし、俺たちの勝ちだな。じゃあお前、アーヤに謝れよ」
力尽きて地面に倒れた男の子は立ち上がって、私と向き合う。
「…すみませんでした」
ん、ゴミはちゃんと捨ててよね。
私からゴミを受け取って公園から立ち去る後ろ姿を見送り、めでたく雪辱戦は幕を閉じた…
「…調査、忘れてない？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ももこ(プロフ) - りさん» り さんコメントありがとうございます！最近あまりここに来ないので完結してるやつ公開しますね！ (2020年6月14日 20時) (
レス) id: 76860029bd (このIDを非表示/違反報告)
り(プロフ) - 短編集めとても面白かったです！ももこさんが良ければ他の作品も是非公開していただきたいです！ (2020年5月14日 16時) (レス) id: c14adf3578 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 五一ミリアさん» ありがとうございます！本当に嬉しいです……！秘密会議！は合作の話し合いの場で、未定はまだ何も書いていないんです(;_;)ハロウィンのやつ公開させてもらいますね！ (2018年3月18日 20時) (レス) id: 9ec7cb08ca (このIDを非表示/違反報告)
五一ミリア - すみません『秘密会議！』と『Halloween*SweetNight』と『未定』のパスワード教えてください。 私ももこさんと作品もっと読みたいです。 (浜田組が読みたいです。) (2018年3月4日 0時) (レス) id: 60e64b8716 (このIDを非表示/違反報告)
五一ミリア - ももこさん尊敬します。私は、探偵チームKZのファンです！短編集めを今日読んだのですが…ハマってしまいももこさんの作品すべて今日一日で拝読させていただきました。私は、まだまだ未熟ものですが、ももこさんの作品は、素晴らしいものだと思います。 (2018年3月4日 0時) (レス) id: 60e64b8716 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
