紫陽花 (美彩) ★ ページ14
(かず 様 「美彩」ありがとうございました！)
「はあ、今日も雨かあ」
隣でアーヤが傘をちょっと持ち上げ空を見上げている。
ザアザアと強めな雨粒が容赦なしにアーヤの顔に当たる。
「わっ、目に入った」
1人でバタバタと動く様を見てちょっと笑うと、聞こえたのかじとーっと恨めしげに見てくる。
「1人で遊びすぎでしょ」
雨だからはしゃいでるの？と付け足すとアーヤは少し怒ったように頬を膨らませる。
「逆。憂鬱なの。朝はあんなに晴れてたのに。」
午後、ちょうど昼休みが終わる時間に突然パラ、と降ってきて、それから土砂降りになった。
天気予報で雨が降るって言ってたから一応折りたたみ傘を持ってきたんだけど、正解。
アーヤも持ってきてたから残念ながら相合傘はできなかったけど、お互い折りたたみ傘だから普通の傘よりも少し近づける。
トン、とたまにぶつかると傘に溜まった雨粒が弾けて、またアーヤの頬を濡らす。
大きな道を曲がり住宅街へと歩いて行く。
雨も少し止んできた。
「ほら、アーヤの家の方向はもう晴れてるから機嫌なおして」
そう言って空を指差す。
鈍色の空から青空が覗いている。
「じゃあもう傘畳んじゃお」
ニッコリ笑いながら小雨の中カチッと傘を閉じるアーヤ。
しっとりと髪を濡らしていく。
水を含んだ髪は弱い陽の光を浴び鈍く光らせる。
思わず見惚れていると、アーヤは突然立ち止まり、駆け出した。
「えっ、ちょっと、アーヤ？！」
アーヤの後を追いかける。
向かった先は小さな公園だった。
「見て！翼！」
アーヤは嬉しそうに振り返る。
アーヤの後ろには紫、青、白の紫陽花が一面に咲き誇っていた。
美しい光景に何も言えず、ただパチンと手持ちの傘を閉じ見つめていた。
紫陽花の雫は太陽を反射させてダイヤモンドのように光っている。
「わあ、奥にも！すごい！」
そう言って紫陽花の群の中に入って行くアーヤ。
「綺麗だね！」
また振り返るアーヤは、紫陽花にすっかり囲まれていた。
陽の光を浴びて艶やかに靡く髪。
ドレスのようにアーヤを飾り立てる色とりどりの紫陽花。
まだ降る霧雨のフィルター越しには、幸せそうな花嫁が立っていた。
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ももこ(プロフ) - りさん» り さんコメントありがとうございます！最近あまりここに来ないので完結してるやつ公開しますね！ (2020年6月14日 20時) (
レス) id: 76860029bd (このIDを非表示/違反報告)
り(プロフ) - 短編集めとても面白かったです！ももこさんが良ければ他の作品も是非公開していただきたいです！ (2020年5月14日 16時) (レス) id: c14adf3578 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 五一ミリアさん» ありがとうございます！本当に嬉しいです……！秘密会議！は合作の話し合いの場で、未定はまだ何も書いていないんです(;_;)ハロウィンのやつ公開させてもらいますね！ (2018年3月18日 20時) (レス) id: 9ec7cb08ca (このIDを非表示/違反報告)
五一ミリア - すみません『秘密会議！』と『Halloween*SweetNight』と『未定』のパスワード教えてください。 私ももこさんと作品もっと読みたいです。 (浜田組が読みたいです。) (2018年3月4日 0時) (レス) id: 60e64b8716 (このIDを非表示/違反報告)
五一ミリア - ももこさん尊敬します。私は、探偵チームKZのファンです！短編集めを今日読んだのですが…ハマってしまいももこさんの作品すべて今日一日で拝読させていただきました。私は、まだまだ未熟ものですが、ももこさんの作品は、素晴らしいものだと思います。 (2018年3月4日 0時) (レス) id: 60e64b8716 (このIDを非表示/違反報告)
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