・ ページ39
借り物競争を終え、テントに戻っていると1年生の部が始まった。
軽やかに走りトップを独走しているのは、黒田くんだ。
あの子運動神経良かったんだ。
紙を拾うと、黒田くんは面白そうに口角を上げた。
なんのお題を見つけたらあんな笑顔を浮かべるんだ？
黒田くんはキョロキョロと辺りを見渡す。すると、ふと、というか、バッチリ、というか目が合った。
黒田くんは目を輝かせて、私の方へ走ってくる。
これ、私じゃないよね？私の方に何か借りるものがあるんだよね？
うんうん、そうだね絶対。
テントの方向へまた歩くのを再開すると、腕を思いっきり掴まれた。
黒田「ちょっとちょっと、どこ行くの。笑
目合ったじゃん。」
やっぱりかぁ...。
なんで自分の出る出番じゃないのにこんなに体力使ってるんだろう。
『お題何？』
黒田「え〜？何だったら嬉し？」
ニヤッと笑って、私の顔を覗き込んできた。
柄では無いけど、少しドキッとした。
そんな私の答えを聞かずに、黒田くんは私を抱き上げた。
いや痩せてはいるけど、さすがにこんな人がいるのにこの体制で行くわけないよね？
『黒田くん、もしかしてこれでゴールまで？』
黒田「だって先輩、さっきから走ってばっかでしょ？
だから俺が代わりに走ってあげる。」
いたずらっ子のような、もはや比喩がいらないくらいの笑みを黒田くんが私に向けた。
ビューンと速いスピードでゴールまで向かう。
ちょっと楽しいかも。
『うぉー！！楽しー！もっとスピード上げてよ！』
黒田「よっしゃ！」
こんな全速力で走っていた私たちだけど、ビリだった。
やっぱりあの会話に手間を取りすぎてしまったみたい。
〈黒田くんのお題は＿＿＿＿
髪を巻いている人！！〉
『え！！！？？？そんなくだらないお題なの！？』
黒田「くだらなくないでしょー。笑」
髪を巻いている子なんてどこにでもいるのに！
なんで関わって間もない私を？という疑問が続けて頭にこびり付く。
『ね、黒田くん。なんで私なの？他の子も巻いてる子いるよ？』
黒田「え〜？言って欲しい？」
黒田くんは私の耳元でコソッと囁いた。
黒田「巻いてる子の中で、1番可愛かったから。」
それが黒田くんの本心かは知らないけど、
私の胸が大きく鳴ったのはたしかだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 275人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゴンザレス(プロフ) - あずきさん» ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです♡♡♡ (3月25日 22時) (
レス) id: b2056e73ae (このIDを非表示/違反報告)
あずき - めちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください^.".^!♡ (3月20日 20時) (レス) @page25 id: 0b4479c19f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゴンザレス | 作成日時：2024年3月14日 8時
