Until I hear your name (ページ6)

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シチューが温まるのを待つ間、私たちは静かな空間に包まれた。

湧くんは腕を組んで、鍋一点に視線を当てていた。

多分、湧くんはアフターとか初めてだから何をするとかわからないんだろうな。

『湧くん。』

腕を組んで無表情の湧くんは、あの笑顔から想像できないくらい、

少しだけ威圧感がある。

パーカーの袖を掴んで、名前を呼ぶと「ん？」と穏やかな表情に戻った。

『なんかしたいこととかある？基本的に何でもするけど...。ハグとかキスとか、あと...行為とか。』

私の周りの子達の中で性行為をアフターで行う子は私ぐらいしかいないらしい。

お店の中は、やっぱりみんなに迷惑をかけてはいけないから注意しているけど、アフターは完全に自分のプライベート。

ここに来て、そういうのは無関心で出来るようになってしまったから、それほど抵抗はない。

そうやって指名を増やしていくのが私のやり方のひとつだと知った。

＿＿＿でも湧くんはそういうわけではないらしい。

袖を掴んでいた私の手は、湧くんの白くて骨ばった手によって包まれた。

俯いていた私は顔を上げると、湧くんは悲しそうな顔をしていた。

あれ、私なにか変なこと言ったかな。

湧「そんなこと、他の奴にも言ってんの？

...俺は今日はリリちゃんと仲良くなれれば十分だから。

お願いだから、自分の体は大切にして。」

湧くんのビー玉みたいに綺麗な瞳が、私を釘付けにする。

そんな言葉、本当にかけてくれる人っているんだ。

大体私があの発言をした途端、お客さんの目は一変するのに。