Until I hear your name (ページ31)

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Return. From,光輝ページ31

この仕事をしてる以上、普通に恋愛することは無いと思ったしする必要なんてないと思ってた。

だってお客さんを相手にしてるだけで
俺の求めてるもの全部貰えた気がしてたから。

リリも一緒だと思ってたし、なんならあいつの方がそう思ってるんじゃないかって勝手に感じてた。

だから客を好きになったって聞いてめちゃくちゃ驚いた。

そして、胸がザワザワして怒りまで込み上げてきた。

けどその後にそいつのことを話している時のリリの顔を見たら、そんなことどーでも良くなった。

逆に嬉しかったんだよな。あいつのあんな顔、出会った時から見たこと無かったから。

渉「おい、光輝。聞いてんの話。」

黒「え？あぁ、ごめん。もう1回お願い。」

最近お酒を飲むとそういうことばっかり考えてぼーっとしてしまう。

ワタには適当に相槌をしていたのがバレていたらしい。

渉「また考えてんの、リリのこと。」

黒「は？そんなんじゃねーし。」

渉「ほんと過保護だよなー。もう勇ましい彼氏がいるんだから安心しろって。」

ワタの＂過保護＂という言葉を、俺は腑に落ちなかった。

それは何故なのか。

自分自身その答えは分かってるのに、認めたくなかった。

黒「ごめん、気持ち悪い。トイレ行ってくる。」

渉「大丈夫かー？お冷頼んどくぞ？」

飲みすぎたかも。

よろよろと千鳥足になりながら、トイレに向かう。

なんだか足に力が入ってこなくなってきて、その場にうずくまった。あともうちょっとなのに。

＿＿＿＿「大丈夫ですか？」

そっと耳に自然に入ってきた声。

俺はそれどころじゃなくて、その声の方にすがりついた。

この後のことは、覚えてないけど

すがりついた途端、優しく背中を撫でられた気がする。