Until I hear your name (ページ4)

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今日は特別早く上がらせてもらって、湯島さんにもらった1万円札と湧くんの電話番号の書かれた紙を握りしめながら店を出た。

その番号に早速電話をかける。

3回くらいプルルルと着信音が鳴ってから電話が繋がった。

『あ、もしもし。湧くんですか？』

湧｢はい。湧でーす。｣

すると、後ろから声が聞こえて、振り返るとそこには耳にスマホを当てニヤニヤした湧くんがいた。

『もう！いたなら言ってよ！』

湧｢あはは、ごめんって。笑｣

あ、ちょっと敬語が砕けてる。

湧くんの格好は、先ほどのスーツではなくラフなパーカーに変わっていた。

私の仕事の間に家に帰っていたのか。

『じゃあどこ行きたい？カラオケとか？バー？飲み屋？』

湧「あー、、あの、俺、今そういう気分じゃないっていうのを伝えたくて来ました。リーダーが変な気遣ってすんません。」

深深と頭を下げる湧くん。

その後の顔を上げた時の湧くんの表情が、なんとも言えない、申し訳なさそうにしているのが少し胸が痛む。

んー、けど湯島さんにお金も貰っちゃったからなぁ。

あ。

『じゃあ湧くんの家は！？私の料理食べてくれない？』

湧くんはお酒をあまり飲んでいなかったどころか、食べ物も口に運んでいなかったのでお腹が空いてるんじゃないかと思った。

私の発言に彼は目を丸くして、また困ったような顔をして頭をかいた。

湧「...じゃあお願いしていいっすか？」

『うん！ていうか敬語じゃなくていいから！湧くんはお客様なんだもん。』

湧「あー、わかった。」

犬歯を見せながら笑う彼。

今日初めて会った全然知らない私にも優しい笑顔を向けてくれる彼は、本当にお人好しだなって思った。