Until I hear your name (ページ28)

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好きという気持ちには嘘をついていないはずなのに、湧くんの目をまっすぐ見ることは出来なかった。

すると、頬に湧くんの手が覆われて、ゆっくり顔が上げられた。

私のことを愛おしそうに見つめる目と、バチリと目が合う。

そんな目で見つめてくれるのは、あなたしかいないのかも。

湧「ほんとはまだ言わないつもりだった。会って2回目だったし。でも、あんなこと言われたら黙ってられないっしょ。」

『ごめんね。悪いやつじゃないんだけど...。』

湧「それは知ってる。だって、リリちゃんのこと思ってくれてるって分かったから、さっきので。」

ふにゃりと表情を柔らかくして言う彼。

私の心が言ってる。

好きだって、大好きだって。

溢れた気持ちのままぎゅーっと抱きつくと、彼は同じくらいの強さで抱き締め返してくれた。

＿＿＿＿＿＿＿＿

『湧くん、なんでここにいたの？』

湧「ちょうど飲んでたらりりちゃんっぽい人見つけてさ、そしたら男と肩組んで歩いてるから。思わず。笑」

『湧くんって、たまに年下感出るよね。かわいいねー。』

からかうように言うと、明るく笑って、手を恋人繋ぎに変えてきた湧くん。

こんな些細なことでもドキドキさせてくれる湧くんは、やっぱり私よりも上手だ。

すると、急に湧くんが立ち止まったので、顔を覗き込むと照れたように笑ってるから、私もおかしくなって笑ってしまった。

『なーに、どうしたの？』

湧「ね、聞きたいことあるんだけど、聞いてもいい？」

『いーよ、なんでも聞いて。』

湧「リリちゃんの、本当の名前は？」

その瞬間、鎖で繋がれていた何かが、解かれたような衝動にかられた。

やっと聞いてくれた。

本当の名前で呼んで欲しいと思える人が、

本当に現れたんだ。

『湧くん、私の名前はね＿＿＿＿』

秘密を明かした瞬間、

湧くんは私の大好きな笑顔を浮かべて、大好きな声で、

大切に大切に1音ずつ呼んでくれた。

その時、

今なら、

世界中の中で

湧くんが1番好きだよって

彼の目を見てまっすぐ言える。

そう思った。