Until I hear your name (ページ23)

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なんやかんやしていると、もう時計は午前2時過ぎ。

さすがに2連続で泊まるのも悪いよね。

『じゃあ私帰るね。』

颯「え！泊まってかないの？」

『だって化粧落としとか着替えないもん。じゃあまたね、颯太くん。』

颯太くんは明らかに落ち込んだ様子。
頭を撫でたけど、まだ不服そうに唇をとんがらせている。

湧くんの方を見ると、なぜだかジャンパーを羽織っていた。

『なんで湧くんジャンパー着てるの？』

湧「ん？だって帰るんでしょ？送るよ。」

『えー。悪いよ。夜遅いよ？』

湧「俺が送りたくて送んの。ほら、行くよ。」

私の手をとって、玄関へ歩き出す湧くんに慌てて私もついて行く。

その手はさっきまで洗い物をしていたから、とっても冷たい。

冷たいはずなのに、彼の手は心なしか温かい。

私とそんなに背は変わらないはずなのに、大きく見えるこの背中になにもかも預けたくなってしまう。

もう少し一緒にいたい、かも。

車の鍵に手をかけた湧くんを、とっさに引き止めた。

湧くんは目を丸くして私の源氏名を優しく呼んだ。

本当は、"名前"で呼んで欲しい。

湧「リリちゃんどうした？」

私の顔を覗き込む湧くんに、胸が小さくときめく。

『歩いて帰りたい。もっと一緒にいたい...から。』

私のわがままに、犬歯を出して明るく笑ってくれた。

まだ会って2回目で想ってしまうには早すぎるこの感情に、彼は気づいているのだろうか。

＿＿＿＿絶対に抱いてはいけないこの感情に。