Until I hear your name (ページ22)

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湧「落ち着いたか？」

『うん。ごめんね。』

颯「そういう時はわくのキムチ鍋食べたらいいよ！おいしいよ！」

颯太くんがニコニコしながら私にお鍋の具がたくさん入ったお椀を渡してきた。

受け取ると、ピリッとキムチのいい匂いがする。

具を口に運ぶと、あったかくて柔らかくて口の中ですぐに溶けた。

『美味しい。』

湧「ほんと？ありがと。」

颯「わく！俺も食べたい！」

湧「すぐ持ってくから座ってろって！」

やいやいと言い争う2人は、雰囲気も顔も性格も全然違うのになんだか兄弟に見える。

懐かしいかも。私も＿＿＿＿。

颯「リリちゃん？大丈夫？」

『あ...なにもないよ。どうしたの？』

キョトンとした顔で私の顔を見つめる颯太くん。

美形にそんなに見つめられるとさすがに照れるなぁ。

颯「ね、わくが元気になった理由ってもしかしてリリちゃんのおかげ？」

『え？』

颯「わくがA以外の女の子、家に入れるの初めてなんだよ。」

小さな声で私に教えてくれた颯太くんの顔は、いたずらっ子のような笑顔を見せて笑っていた。

その話を聞いた私の顔は、多分、というか絶対変な顔しちゃってる。

Aっていうのは、多分あの湧くんが好きな女の人。

でも、私は彼にとってなんなんだろう。

あの女の人と同じくらいの存在ってこと、、なのは浮かれすぎかな？

颯「あはは、リリちゃん顔真っ赤ー。笑」

湧「おい颯太。顔近いから。笑」

片手にお椀を持った湧くんは乗り出していた颯太くんの体を元に戻して、颯太くんの前にお椀を置いた。

そんな様子を横目に、私はまともに湧くんの顔は見れなかった。

この浮かれた気持ちと複雑な気持ちは、一体なんなんだろう。