Until I hear your name (ページ21)

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Waku side.

その後、圧のある男の人がリリちゃんに向かって手招きをしてきた。

リリちゃんはその人の顔を見ては少し顔を歪ませ、俺には引きつった笑顔を見せて席を立った。

多分怒られるんだろうな。

まぁ、接客のやり方は個人で自由なんだろうけど、リリちゃんにはもう少し自分を大切にして欲しい。

もっと注意深くいて欲しい。女の子なんだし。

今日は遅い時間に来てしまい、彼女といる時間が前より短いと思ったから、「鍋しない？」とくだらないことに誘った。

俺の誘いを聞いて、楽しそうに笑う彼女に安心した。

慣れない店で慣れない高いお酒。

リリちゃんも俺がお酒を頼むごとに、心配そうに眉を下げるから、ちょっと可愛かった。

俺の家にリリちゃん1人で来させるのはさすがに気が引ける。あんなことがあった後なのに。

だから颯太の電話番号を渡しといた。あいつもおそらく家に来るだろうから。

連絡をマメにしないやつだから、勘だけど。

そしたら案の定、俺の家の前でしゃがみこんでいる颯太がいた。すごいな俺。

颯「あ、わくー！どこ行ってたの？」

湧「前言ってた子のとこ。てか来るなら連絡よこせって言ってんだろー？」

颯「えへへ。前言ってた子って、例のキャバの？」

湧「そーだよ。」

鍵を開けて、颯太の顔を見ると嬉しそうに口角を上げていた。

湧「...なんだよ。」

颯「別にー？嬉しいなぁって。」

そう言って、「お邪魔しまーす！」と靴を脱ぎ捨てて部屋に入っていった。

なんで颯太が嬉しいんだ？

ていうか、こいつのこんな幸せそうな笑顔、久しぶりに見た気がする。