Until I hear your name (ページ20)

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Waku side.

俺に縋りついて泣く彼女は、なんだか悔しそうに泣いていた。

＿＿俺が店に着いた時、なんだか店内が騒がしかった。

何があったのか、そこらへんのボーイに聞くと震えた様子で、

「リ、リリさんが、お客様に...。」

と言った時、大声が聞こえた方へ無意識に足が出ていた。

後悔した後じゃ遅いんだよ。
その前に、取り返しのつかなくなる前に助けないと意味ねーんだよ。

目の前には客に覆いかぶさられ首を絞められているリリちゃん。

『リリ。』

呼び捨てで呼んだ。

威圧を与えるため。客にも聞こえさせるため。

そして、その子は俺の大事な子だって認識させるため。

彼女が掠れた声で俺の名前を呼んだ瞬間、一気に現実に引き戻され状況を把握した気がする。

急いで首を絞めていた手を離れさし、むせた彼女の背中をさすった。

警察を呼んだなんていう分かりやすい嘘に、客は動揺してくれたので助かった。

客が俺に殴りかかってきたけど、そんなの高校時代に朝飯前だったのでどうってことなかった。

でもやっぱり、人に暴力を与えることってこんなにも虚しくて、苦しくなるもんだな、って自分のじんわりと痛みの走る拳を見つめて思った。

「わ、湧くん？」

ハッとして振り向くと後ろで彼女は、立ち上がろうとするが腰が抜けているのかソファにへたりこんでいた。

彼女に駆け寄り、しゃがんで視線の合うようにする。

首のところ、少し青くなってんな。

けれど彼女は自分の怪我なんて気にしてない様子で、俺の顔と髪を交互に見ている。

あー、そっか。金髪で会ったのは初めてか。

金髪にした理由ははぐらかした。

ちょっと恥ずかしいから。

「かっこいい。」って言った彼女の顔は、頬を赤く染めて優しい顔をしていた。