Until I hear your name (ページ18)

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0時を回って、やっと閉店準備を始めた。

更衣室で着替えていると、スマホが鳴って画面を見る。

指をスライドして電話に出ると、いつもと変わらないチャラそーな口調で話す声が聞こえた。

【もしもーし、俺だけど。】

『今日は無理。』

【はぁー？またアフター？】

『うん。だから他の子と飲んで。』

【今日はお前と飲みたい気分だったの。
ホストの愚痴言えんのお前だけなんだからなー。】

『今日はごめん。またね。』

【はーい、じゃーなー。】

＿＿＿＿＿＿＿＿＿

外に出て、湧くんに渡された電話番号に掛けてみた。

【...はーい。もしもしー。】

数回コールが鳴ると、おっとりした声が聞こえてきた。

あ、私、湧くんのなんて説明すればいいんだろう？

友達？お客さん？それとも、、、

【もしかして、わくの言ってた子？】

『え、あ、多分そうです。リリです。』

＿＿＿＿「へー、"リリちゃん"って言うんだぁ。」

後ろから肩をポンと叩かれ、振り向くと背の高い黒髪の男の人がいた。

私と目が合うと、男の人はニコリと柔らかい笑顔を浮かべ、耳元に添えていたスマホの電話を切ると、私の手元にあったスマホの電話画面も同時に閉じた。

この人が電話の相手。

「こんにちは〜。わくがお世話になってます〜。内村颯太です。」

『リリです。よろしくお願いします。』

颯太くん。湧くんのお友達かな。
ぺこりと深々と頭を下げる彼に合わせて、私も頭を下げた。

颯「じゃあわくんち行こっか。もう鍋の準備できてるらしいよ。」

ゆらゆらと私の前を歩く彼。足が長いからか、歩く速さは遅いけれど歩幅が大きいので、付いていくには私の歩幅では離れてしまいそう。

それに気づいたのか、颯太くんは歩幅を私に合わせるように小さくして横を歩き始めた。

『あっ、ごめんね歩くの遅くて。』

颯「んー？ううん。俺が速かったよね〜ごめんね〜。」

ゆるーく喋る颯太くんの口調は、あまり私の周りの人にはいないから新鮮かも。