Until I hear your name (ページ16)

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『ぁ、ゎく、くん。』

湧くんだ。

明るい茶髪がさらに明るさを増した金髪になっていたから、すぐには分からなかったけど。

そのまま湧くんは駆け寄ってきてくれて、私の首を締めていた手を、すぐに離してくれた。

むせる私の背中を優しくさすってくれた。

＜は？お前なに？
今こいつは俺が相手してやってんだけど？＞

湧「あー、警察呼んだんで。すぐ来ますけど、どうします？」

＜は...？何してくれてんだよお前！！部外者のくせに！＞

男が湧くんに手を振り下ろした時、湧くんはその手を掴んで拳を1発、お腹にお見舞した。

男は苦しそうに床にへたりこんだ後、自分のカバンをもって逃げていった。

よかった、助かったんだ。

『ゎくくん、ありがとう。』

掠れた声で彼の名前を呼ぶけど、彼は私の方を振り向かず自分の拳を見つめていた。

『わ、湧くん？』

立ち上がろうとしたけど、腰が抜けているのか上手く足に力が入らない。

湧くんはそんな私に気がつくと、私と視線が合うようにしゃがんで私の目を見つめた。

湧「あれ、出禁にした方がいいでしょ。ごめんな、もうちょっと早く来れればよかったね。」

なんで私を責めないの。

湧くんも手上げられる寸前だったんだよ？

ていうか、髪。なんで金髪にしたんだろう。

『湧くん、髪、どうしたの？』

湧「あー。笑なんか変えたくなって。変？」

『ううん、かっこいい。』

そう？、と照れながら笑う湧くんに不覚にも少し胸が高鳴ってしまった。