Until I hear your name (ページ14)

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あの出会いから、いつくらいたっただろう。

もう2ヶ月くらい、湧くんは店に来ていない。

〝また〟という言葉に踊らされてしまったのかな。

湯「湧ならもうまた来るんじゃないか？」

湯島さんがニヤニヤしながら私にそう言ってきた。

『えっ。いやいやいや？なんでですか！』

湯「わかりやすいな。今日も俺が来た時すぐ後ろ確認しただろ。」

ウイスキーを飲みながら陽気な口調で喋る湯島さん。

この人、いつも勘が良くて鋭い。

前私が体調が悪かった時もすぐ気づいて、帰ることを勧めてくれた。

最初は、サングラスやネックレスを付けていていかにも怖いって思ってた。

でもそれは全然違って、私がタバコが苦手だと聞くと私の前で吸うことはなくなったし、それを私が無理してるんじゃないかって聞くと

「いつも世話になってる子を死なせるわけにはいかない」

なんて笑って言ってくれた。

こんな面倒見の良くて優しい人だから、湧くんも他の皆さんも湯島さんを慕っているんだなって思う。

湯「まー、また湧が来たら相手してやってくれや。最近仕事頑張ってんだよ、あいつ。」

仕事の情報まで知ってるなんて、湯島さんと湧くんってどんな関係なんだろう。

『ねぇ、湯島さ』

＜おい！！リリをずっと呼んでんだろーが！＞

背後からガラスの割れる音が聞こえて、後ろを振り返るとそこには私をご指名のお得意様。

今日はやけに酔っているらしく、顔が赤くて言動も荒い。

『ごめんなさい、湯島さん。』

湯「いや、俺もそろそろ出ようと思ってたところだから。ていうかあの客大丈夫か？手、出しかねねぇぞ。」

『大丈夫ですよ。じゃあお会計の方へお願いします。』

湯島さんが心配そうな顔をしていた。それを振り払おうように思いっきり笑みを浮かべた。

私の笑顔を見た湯島さんは、呆れた笑顔になって私の頭を撫でて店を出て行った。

八方美人も、やっぱりバレちゃうもんだな。