Until I hear your name (ページ13)

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朝、目が覚めると湧くんの微笑んだ顔と目が合った。

いつから起きていたんだろう。

あ、でも目はまだ眠たそう。

湧「おはよ。」

そう言いながら私の横の垂れた髪を優しく耳にかけてくれるの。

まだ眠たくて、湧くんの胸に顔を沈めた。

トク、トク、トク、と刻まれる心臓の音。

『ん、いまなんじ。』

湧「もう昼。お腹空いた？」

『んー、うん。でももうちょっとこのままでもいいかも。』

湧「なんだそれ。笑ほら、起きるよ。」

ゆっくり手を引っ張られて、湧くんに受け止められた。

湧「軽すぎだろ。笑」

『ほんと？嬉しい。』

この会話とこの雰囲気だけ見たら、私たちはタダのカップルに見えるだろう。

寝起きの湧くんの髪はいつもよりフワフワしていて犬みたい。

あくびをしながらお腹をかく湧くん。割れた腹筋がチラリと見えて、やっぱり男の子なんだなぁって思った。

私に本当に優しくしてくれる、"キャバ嬢"じゃなくて"1人の女の子"として扱ってくれる男の子。

物好きなのか、ただのお人好しなのか。

湧「何食べる？って言ってもなんもねーな。」

『んー、やっぱりいいや。私、家帰るね。化粧落としたり、お風呂入らないとだし。』

湧「あー。そっか。じゃあ車出すわ。」

『えっ、いいよいいよ。タクシーで帰るから。』

湧「他人の家で爆睡して今さら何遠慮してんの。笑

ほら、早く荷物持って。」

湧くんに流されるまま、私は車に乗せられてしまった。

そしてあっという間に安全運転で私の家の近くまで送り届けてくれた。

恐らく、私の家まで把握してしまうのは悪いと思ったのだろう。

『湧くん、ありがとう。またお店来てね。』

湧「はいはい。...じゃあ、また。」

あ、〝また〟があるんだ。

私は湧くんに顔を近づけ、小さく耳元で言った。

『他の女の子の名前、寝言でもあんまり呼ばない方がいいよ。』

そう言って離れ、私は自分の家へと足を運んだ。