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〈リリー！！ライトつけてきてー！〉
『はーい！！』
7時になったらこの街は急に活気を帯び、明るくなる。
看板の灯りを付けていると、お得意様たちがゾロゾロと開店前だというのに集まり始めた。
『いらっしゃいませ！こちらどーぞ！』
愛想良くお客様たちと接するのが私たちの仕事。
ここに勤めてもう2年くらい経つ。
もう仕事には慣れてきたし、お客様と話すのは楽しいし、指名されるのも嬉しい。
最初はこんな仕事やっていけるだろうか、と思っていたけれど、店長や他の子達と支えてもらって生計を立てている。
｢あれリリちゃん、ぼーっとしてどうしたの？｣
『え！ううん！なんにも！今日もお疲れ様〜。何飲むの？』
｢リリちゃんは何飲みたい？｣
そう言ってお客様は、私の太ももに手を置く。
こういうお客様にも慣れたけど、やっぱり対応には少し抵抗が出ちゃう。
『ちょっと〜！お触り禁止ですよ〜。』
そう言って手を自然にどかすことも覚えた。
よかった、この人が酔う前で。
酔ってる時に言うと逆ギレしてくるお客様もいるから。
そのときは、少し怖くなる。
今日は金曜日のせいなのか、いつもより客通りが多くて店内がにぎやかだ。
ボーイさんも忙しそうに走り回っている。
〈リリ、リリ。〉
『ん？どーしたの？』
〈いつものご指名様きたよ。〉
『え、あ！こんにちは！』
いつものお得意様の方。
見た目はちょっぴり怖いけど、面倒見が良くて私のことを可愛がってくれている。
しかも酒癖も全然悪くなくて、お触りもされたことがない。
ただただ面白い話を聞かせてくれる、私の大好きなお客様。
いつものジャラジャラした派手な格好ではなく、スーツに身をまとっていたからビックリしたけど。
｢よう。今日は連れが沢山いてな。｣
後ろをのぞくと、そこにはスーツ姿の若い人達が沢山いた。
もしかしてお祝いごとの後だったのかな？
｢おい湧！｣
｢あ、はいはい。｣
わく、と呼ばれるその人はかわいい犬歯を見せながらニッコリと笑いかけてくれた。
私もそれに合わせて笑顔を見せた。
湧｢いつもリーダーがお世話になってます。元木湧です。｣
珍しい名前だなーっていうのが第一印象だった。
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作者名：ゴンザレス | 作成日時：2024年2月28日 21時
