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第二話 ページ3

入学して三日が経った。
左側斜め後ろの席に座っている夜月瑆は、一匹狼となっていた。

「夜月さんって....なんか親しみにくいよね」

「あの髪の毛なんなんだろうね」

「ていうか怖い.... よね」

クラスの女子がそんな噂をしていても、彼女は何も返さず、ただ窓の外を見つめていた。

「何? 晃、夜月さんの事好きなの?」

「っは?! いや、んなんじゃねぇよ!」

中学からの仲である、岡本冬季が話しかけてきて、反射的に否定する形になった。
日の光に当たると赤茶色の様に見える黒髪は、天パで、襟足の少しだけ長い髪の毛はフワフワとしている、サッカー部の元キャプテンだ。

「晃もさ、眼鏡外してコンタクトにすればいいのにさ。もったいねーよ、お前の目灰色っぽいんだから」

俺の眼鏡を取り上げながらフユキは言った。
灰色っぽい目は、父がロシア人だからだろう。日本人にしては珍しい色である。

「見えないんだから仕方ねぇだろ。それに、コンタクトって何か怖えじゃん」

眼鏡を取り返しながら言うと、フユキはケラケラと腹を抱えて笑い出していた。

「相変わらずのヘタレだな」

フユキは笑すぎて少し涙が出ていた。
そんななるまで笑うな。と言うと丁度授業が始まる直前だったため、フユキは自分の席へ戻って行った。

左斜め後ろの席を見ると、変わらず窓の外を見つめている夜月さん。
視線の先には小さな桜の木があった。

「....何?」

「っえ....」

夜月さんが声をかけてきた。
突然のことで驚き、思わず変な声が出てしまったのは不本意だ。

「いや、何見てんだろー.... って気になって」

流石に苦しい言い訳だっただろうか。
夜月さんは俺の方を見つめて動かなかった。

「っぷ.... あははっ」

大人しめに声を出して夜月さんは笑い出した。
今日はよく人に笑われるなと考えながらも、何か変だった? と言いながら頭を掻いた。

「んーん。そんな事だったんだ.... って」

窓の外をまた眺めながら彼女は言った。
その目は、少し嬉しそうに少し細まりながら。

「夜月さんって....」

話題を降ろうと名前を呼ぶと、夜月さんはまたこっちを向いた。

「瑆。ヒカルでいいよ」

少しだけ逆光だったからか、夜月さんの金髪がキラキラと輝いて見えた。

「俺の名前もヒカルなんだ」

「なら、好きに呼んで欲しいや」

好きに呼べと言われたら、あだ名を考えてしまう。どう呼ぼうか.... と考えているうちに、思い浮かんだあだ名を呟いていた。

「ルナ....」

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神無月 雪春(プロフ) - 架空夢想像さん» ありがとうございます!これからも頑張らせていただきます^_^ (2015年8月14日 14時) (レス) id: e6197a1958 (このIDを非表示/違反報告)
架空夢想像(プロフ) - とても読みやすい好きな作品でした。更新頑張ってください (2015年8月13日 22時) (レス) id: d18e4db244 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Snow x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2015年7月26日 18時

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