33…ゲーセン ページ33
司side
「なにこれ……全ｯ然取れない……」
「これか？ちょい貸して、俺やってみるわ」
「1回だけでいいですからね…？でも頑張ってください」
今はAちゃんがクレーンゲームの景品に夢中になっている。
正直クレーンゲームは得意じゃないんだけど、Aちゃんが控え目に目を輝かせているのを見てたら俄然やる気が出てきた。
「っしゃ！取れた」
「凄い……！しかも2個！」
「ほら、やるよ」
「えっ！？」
Aちゃんに取れたストラップを渡すとAちゃんは驚いて声をあげた。
「ホントに…？」
「当たり前だろ。何驚いてんだよw」
「じゃー司さんに1個あげます」
取れたのは猫の手の形のストラップで、肉球がぷにぷにしてクセになりそうだなって感じのやつ。
黒白のハチワレ猫イメージのやつと茶トラ猫イメージの2個取れて、茶トラの方を差し出してきた。
「いや、いらねぇから」
「えー、なんで」
「欲しかったんだろ？だからお前にやったじゃん」
「司さんは、お揃い嫌ですか？」
不満そうな顔をしながらボソッと呟いて、突然ハッと言い訳し始めた。
「あ、いや！なんでもないです！忘れて下さい！……こんな事言うのらしくないですもんね。1人で勝手に舞い上がって変だって自分が1番分かってるんで……」
「お揃いとかやっぱやりたいもん？」
「………まあ、……はい」
「そっか、なら貰うわ」
差し出された茶トラじゃない、黒白のハチワレのストラップをAちゃんの手から取り、スマホに付けてみた。
こういうのって初めてだけど、結構良いな。
「え、そっち欲しかったんですか？」
「あれ、茶トラの方狙って取ってたんじゃねぇの？」
「だってこの茶トラ、司さんに似てるなって思ったから…」
…なんだよその理由。かわいいな。
「なら尚更そっちで良くね？自分に似てるのより相手に似てる方持ってんのがテンション上がんじゃん」
「…確かに！」
納得したらしいAちゃんは自分のスマホに茶トラのストラップをつけた。
「これでお揃いですね」
嬉しそうにはにかんで笑う彼女の笑顔を見た瞬間、心臓がドクンと跳ねた。
それから少しの間沈黙が流れたけど、なんだかそれが心地良かった。
「帰ろうぜ」
「はい」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 347人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ポウ(プロフ) - 面白くて、何度も何度も見返しちゃいました！続き待ってます！ (1月15日 16時) (
レス) id: 4b00597d9c (このIDを非表示/違反報告)
和娘米(プロフ) - まやさん» コメントありがとうございます！いずれ完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけたら嬉しいです！感想もありがとうございます！ (2023年2月3日 13時) (レス) id: 9f59f27616 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 更新はしますか？楽しみにしています(*^^*) (2023年2月3日 1時) (レス) id: 507db5b736 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：和娘米 | 作成日時：2022年11月28日 22時
