22…思い出 ページ22
いくつも並ぶ棟を懐かしく思いながら通り過ぎ、あの時の公園についた。
昔は感じなかったけど敷地は思ったより狭くて、取り壊されたのかボロくなったのか、記憶の中の公園と比べると遊具は少なくなっていた。
砂場とブランコと滑り台が1つずつ。それだけしか無い寂れた場所になっている。
「予想以上にボロくなってたんだな、ココ」
「昔はジャングルジムとかもあったんですけどねぇ」
「結構変わってんな」
でも、懐かしいなぁ……。
昔はよくここで遊んだっけ。
鬼ごっこしたり、かくれんぼしたり。
「何年前だっけな……」
「何がです？」
「Aちゃんとここで会ったの」
まさか司さんから、その話題が出るとは思ってなかった。
『いま、絆創膏とか持ってないから』
『喧嘩したらダメなんて言わないけど、怪我は減らした方がいいかもね』
『怪我したら……、また手当してくれるか？』
「覚えてたんですか…？あの時の」
「まあ、な」
何かを思い出すように目を逸らす司さん。
ちょっと照れてるような、困ってるような顔。
「そういうAちゃんだって覚えてんじゃねぇの？ココに来たってことは」
「……忘れないです」
だってこの公園は、私が名前も知らない男の子に恋をして、勇気を出した場所だから。
「あの時の怪我、流石に気付いてんのに放ったらかしになんて出来なかったですもん」
勇気を出せたはずのこの場所で、大きくなった私に本心をさらけ出すのは難しいらしい。
「ハンカチ濡らして手当てしてくれたんだっけか、確か」
「今思えば、あの時ってお互い名乗ってなかったですねw」
「言われればw」
あの時よりも、笑いながら楽しく会話が出来てる。
なら、それで充分じゃん？
そう思いたいのに。
喉元を這いつくばり、今にも出てきそうな言葉を抑え込む。
“好き”
単純で、シンプルな言葉。
たった2つの音なのに、それすら私はあなたに言う資格も権利も持ってない。
だって、私は“可愛げの無い女”だから。
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ポウ(プロフ) - 面白くて、何度も何度も見返しちゃいました！続き待ってます！ (1月15日 16時) (
レス) id: 4b00597d9c (このIDを非表示/違反報告)
和娘米(プロフ) - まやさん» コメントありがとうございます！いずれ完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけたら嬉しいです！感想もありがとうございます！ (2023年2月3日 13時) (レス) id: 9f59f27616 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 更新はしますか？楽しみにしています(*^^*) (2023年2月3日 1時) (レス) id: 507db5b736 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和娘米 | 作成日時：2022年11月28日 22時
