Don’t let me fall in love! (Ar×In) (ページ39)

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11.Let me fall in love! ページ39

side K.I

「いのちゃん、大丈夫？」

「うん、へーき。」

とある平日のお昼。
やってきたのは、だいちゃんの会社の人近くのカフェテリア。だいちゃんによると、ほとんどがだいちゃんの会社の社員らしい。

で、ここでこのかちゃんと会うことになっている。
だいちゃんはおれのことを心配してるけど、おれだって男だし、やるときはやりますよ。

「い、いのちゃん、」

そう呼ばれて視線をあげると、目の前にこのかちゃんがいた。なんだか不機嫌そう。

「なんですか、こんなとこに呼んで。」

「…………ちゃんと、みててほしくて、」

自分の声が震えていて、けっこう緊張してるんだと今更ながらに気づく。

は？と首をかしげるこのかちゃんの前で、おれは少しだけ屈んで首を傾けた。

「い、いのちゃ……！」

意図的に重ねた唇。
社員さんたちの黄色い悲鳴は、思ったより早く飛んできた。

「なにあれ！？キスしてる！」

「ってか、あれ女の子？めちゃくちゃ可愛くてスタイルいいじゃん！」

「いーなぁ、俺もあんな彼女ほしいわ。」

もともと線が細くて女の子に見られがちなおれだけど、この為にジェンダーレスな格好してきたんだから。

「……っこれでもう、写真、つかえないから、」

「な、に、それ。」

呆然とするこのかちゃんを前に、だいちゃんに謝ろうと向き直った瞬間。

ぐっと後頭部が引き寄せられた。

「っと、それは反則じゃねーの？」

もう一度重なる唇。
歓声か悲鳴かが大きくなった。

それに加えてぱしゃぱしゃと写真を撮る音まで聞こえてきたから、恥ずかしくて死にそう……

「っ最低！男好きとかあり得ないし！」

唇が離れると、ぷんぷんと怒ってカフェテリアから出ていくこのかちゃんが見えた。