Don’t let me fall in love! (Ar×In) (ページ26)

今日:16 hit、昨日:0 hit、合計:155,083 hit

・ページ26

「大貴くん……、こんなとこに居たんだ？」

やってきたのは、だいちゃんとの復縁を願ってるっていう、このかちゃんだった。

「こんにちは、伊野尾さん。」

「こ、こんにちは。」

雰囲気、変わった。
前はもっと、明るくて、優しそうだったのに。

今は、ちょっと冷たくて。なんていうか……怖い。

「ほら、大貴くん、行くよ？」

「……ちょっとだけ、待ってて。」

だいちゃんが、その返答をしたのもよくわからなかった。

だって、まだご飯作ってる途中だし、てっきりだいちゃんは、おれを優先してくれるものだと、……勝手に思ってたし。

「いのちゃん、今、なんて言おうとしてた？」

「ふぇ、？」

「このかが、来る前。」

やっぱりだいちゃんは、おれの気持ちをもう知ってるんじゃないかって。

今言わなきゃ、取り返しのないことになっちゃうんじゃないか、だからだいちゃんはこんなに急かしてるんじゃないかって、わかってたのに。

「……なんにも、ないよ。」

「っほんとに？」

「……うん、」

だいちゃんは視線を床に這わせてから、そっか、と小さく呟いた。

「ほら、大貴くん、早くして。」

「……うん。」

このかちゃんが、だいちゃんの手をぎゅっと握った。

なにも言えなかった意気地なしのくせに、抵抗しないだいちゃんになんだかむかついちゃったのは、おれがだいちゃんに恋してるっていう証拠だろうか。