Don’t let me fall in love! (Ar×In) (ページ21)

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夏祭り当日。

「いのちゃん、お待たせ！」

「だいちゃん、相変わらず遅いね……」

集合場所と時間だけ書かれて送られたそっけないメールのおかげで、おれたちは無事再会することができた。

「いのちゃん、手。」

「へ、え、なんで？」

「これから混むじゃん？」

「でも、まだ混んでない。」

先を歩いていただいちゃんが振り返る。紺色の浴衣の裾がふわりと揺れた。

「俺がいのちゃんと、手繋ぎたいから。恥ずかしいなら、袖でもいいよ？」

「っじゃあ、袖で………っえ、？」

恐る恐るだいちゃんの浴衣の袖に伸ばしたおれの手。
それを、だいちゃんが、ぎゅ、と掴んだ。

「やっぱ、手がいい。」

恥ずかしがったおれへの配慮か、小指だけ絡んで歩くだいちゃん。

別におれはいいけど、だいちゃんは会社の人とかに見られたら、どうするの。
こいつ、男と付き合ってんのかって、ばかにされちゃうよ。

「ってかいのちゃん、浴衣きれい。白、似合うんだね。」

「そう、かな？ ……だいちゃんも、似合ってるよ？」

「はは、お世辞？ 5歳児にしか見えない、とかほんとは思ってんでしょー？」

ひっでー、と笑いながら歩いていくだいちゃん。

お世辞、じゃ、ないよ。

だいちゃんは、格好いいよ。

その一言が言えないまま、お祭りはどんどん盛り上がっていく。