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「……えーと、」
唖然としたままだいちゃんを見つめていたから、彼が気まずそうにこちらを見たのがわかった。
「…………聞いてた、よね？」
「……おれ以外に、高校卒業のときに告白してきた可愛い幼馴染みの女の子でもいたの？」
「え、？」
どーゆうこと？ と首をかしげる大ちゃん。
でも、そーゆうことにしとかなきゃさっきの説明の意味わかんないじゃん。
だいちゃんがおれを好きになるなんて、あり得ないよ。
「それか、このかちゃんを振るのに理由が欲しかったとか？ だからおれの話を持ち出したとか？」
「違う、けど。」
じゃあ、どーゆうことだよ。
少しいらつきながら乱暴に言葉を放つと、おれの焦りを感じとったのか、だいちゃんがくすくすと笑って言葉を紡ぐ。
「俺、ほんとにいのちゃんのこと、好きなんだけど。」
「は、？」
反射的に声をあげたおれ。
好きって、
だいちゃんが？
おれを？
いまさら？
「ないないない、あり得ない。いくらだいちゃんの冗談でも、笑えないよ。」
ほんとに笑えない。
ぎこちない作り笑いで言ったおれを、だいちゃんはいたずらっ子のような目で見つめた。
「昨日、俺としたのも覚えてない？ 好きじゃなかったら、あんなこともできないよ？」
「え、は、え？ なに、体目当て？」
「いやいや好きじゃなかったら、男なんか抱けないって。いのちゃん、ほんとばかだねぇ。」
くすくすと意地の悪い笑みを浮かべるだいちゃん。
そうだ、この子はもうおれの好きだった幼馴染みじゃなくて、おおかみなんだ。
「……おれ、お前のこと嫌い。」
「俺は、好きだよ。」
ほら、おれが放った精一杯の抵抗の言葉だって。
君は笑ってかわすだけ。
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作者名：鎖空
| 作成日時：2017年6月28日 21時
