Don’t let me fall in love! (Ar×In) (ページ13)

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「そうなんです、昨日振られたんです！大貴くん、この珈琲店に行くって言ってたからここで恋に落ちたのかなって！誰と来てました？」

食いぎみなこのかちゃんに、山田がうろたえる。

「えと、知念侑李と……」

「ゆーり！？ゆーりちゃんって女の子ですか！？」

「え？いや、男ですけど。」

「え……じゃあ、大貴くん男の子を好きになっちゃったんですか！？」

「いえ、違うと思いますけど。」

少し呆れた様子で話す山田に、このかちゃんは百面相している。

あぁ、だいちゃんってこーゆう天然な子好きなんだ、って思った。

……いや、まてよ。
あいつ、彼女振っておれのこと抱いたの？
え、え、ありえないんだけど。自分から振っといて、欲求不満で男でいいやって？

「……さいっあくだな、あいつ。」

低く唸るように出した言葉に、山田とこのかちゃんがこちらを見る。
その、このかちゃんの手を取って、目を見て、おれは言った。

「このかちゃん！これから一緒に会社に乗り込み行きましょう！あんなやつ、直接会ってぶっとばしましょう！」

「え、……」

「ちょ、伊野尾ちゃん、それはさすがに……」

引き気味なこのかちゃんを見て、山田がおれをとめる。

瞬間、このかちゃんの瞳が輝いた。

「っ行きましょう！わぁ、わたし感激です！嬉しいです！」

ぶんぶんと握った手を振るこのかちゃん。
さらさらの髪が揺れて、ほのかにレモンが香る。

「まじかよ、こいつら……」

山田が隣で、ため息をこぼした。