冒険の傷痕:3 ページ5
物陰でひそひそと話をしていたのは、上品で高級なドレスに身を包んだ女性達だった。
「お話しの所申し訳ありません、そこを通りかかった時に貴女方の話が聞こえてしまったもので。…宜しければそのお話、詳しくお聞かせ願えませんか」
そう言うと、私は深々と頭を下げた。女性達は互いに顔を見合わせたあと、旅のお方聞いてちょうだいな、と"その話"を事細かに教えてくれた。
その女性達が言うには、今日この王国に一人でやって来た【勇者】と名乗る少年を、デルカダール王は《悪魔の子》と糾弾し城の地下にある最下牢に閉じ込めたという。
そこまででも十分驚くのだが、女性達の話はそこで留まらなかった。
その幽閉された【勇者】である少年が、先に最下牢に捕らわれていた罪人と共に脱獄したらしい。
「まだそんなに遠くへは行っていないはずだわ。旅のお方、くれぐれも《悪魔の子》にはお気を付けて」
「…お話し頂きありがとうございました。ご忠告、心に留めておきます」
──【勇者】が、《悪魔の子》だと?
世界を救う勇者様だぞ?魔王と繋がっているはずはないではないか。
しかし一国の王がそう呼んだからか、少なくとも城下町の殆どの人々はそれを信じているように思えた。
…まだ遠くへは行っていない、ということは逃げたのはついさっき、ということか。
ならば、と私はくるりと向きを変え、城下町の中を全て見て回りたい欲を抑えて来た道を戻り走った。
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千織(プロフ) - チロル/CHIROLさん» チロルさん、初めまして!有難いコメント、とても嬉しいです…!これからも精進していくので、見守って頂けたらと思います! (2018年11月3日 7時) (レス) id: 43a89afe6e (このIDを非表示/違反報告)
チロル/CHIROL - はじめまして!ドラクエファンなので、ドラクエの夢小説を書く人がいるのか!と驚き拝見させていただきました!掴みにくい世界感を表現されていて千織さんはすごいと思いました!これからもがんばってください! (2018年11月2日 22時) (レス) id: f7aec74604 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千織 | 作成日時:2018年10月29日 20時