【明治東京恋伽】月夜と黒猫のワルツ (ページ5)

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迷子の迷子。ページ5

「さぁ！二人の勇敢なお嬢さん方の運命は如何に！見事成功しましたらご喝采！」

二人で黒い箱に詰められて蓋を閉められる。

お祭りの喧騒が遠退いていくようだ………

「あの……」

貴「うん？」

一緒に入っていた女の子に声をかけられる。

「これ……大丈夫なんでしょうか？」

貴「うーん………私にもわからないやっ！」

「ですよね………」

困ったように笑う彼女。

そこであの奇術師のカウントダウンが聞こえてきた。

＿＿＿３

そういえば……これが終わったら急いで帰らないと………

＿＿＿２

お婆ちゃん心配してるだろうな………こんなにおそくなっちゃって………

＿＿＿１

でもごめん………少しだけ疲れちゃった……。

＿＿＿＿

＿＿

＿

「……の！あの！」

体を揺さぶられて目を覚ました。
重い瞼を開けると視界に映ったのは先程の少女。

「よかった……気がつきましたか！」

貴「う………あれ……私………寝てた？」

「私も寝てしまったようで………それより」

少女はそこで口を紡ぐ。そして、周りを見渡した。

それにつられて私も周りを見渡す。

貴「ここ……どこ？」

先程までの喧騒はどこえやら。
あたりはしーんとしていて街灯もない。

しかも先程いた公園とは全く違う場所であることに気がついた。

「ど、どうしましょう………！」

少女が顔を真っ青にして震え出す。

貴「だ、大丈夫だよ！きっと………そ、そうだ！自己紹介っ！自己紹介しようっ！

私は柏木A！貴女は？」

「綾月芽衣です…」

私も内心パニックになりながら、なんとか正気を保とうと自己紹介をすると少女もその意図を察してくれたのか笑顔で返してくれた。

笑顔ひきつってるけど。

貴「そう、芽衣ちゃんね……！よろしく…！」

芽「よろしくおねがいしますっ！……」

貴「と、とにかく……どうする？警察？こういうときは警察？警察だよね！？警察しかないよね！？」

パニクってる心を丸出しで警察を連呼しまくる。
仕方がない、だって只でさえ迷子で困ってたのにそのうえ、また迷子なんて洒落にならない。

芽「そうですね！とりあえず警察を「やぁ、無事だったようだね。お嬢さん方」…あ、貴方っ！」

芽衣ちゃんと交番を探しにいこうとしたとき、私たちの目の前に現れたのはあの如何にも怪しい奇術師の男だった。