【明治東京恋伽】月夜と黒猫のワルツ (ページ4)

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お祭りと奇術師ページ4

黒猫に誘われるようにやって来たのは近所にはないような少し大きめの公園。

貴「うわぁ……お祭りだ！」

そのうえ、お祭りまでやっていた。

アコーディオンの音や屋台からする食べものの匂いに釣られて公園へ足を向けた。

「さあ、お立ち会いお立ち会い！手前ここに取りい出したる陣中膏はこれ、ガマの油。ガマと言ってもそんじゃそこらのガマとは物が違う！」

「ハイご通行中の皆様、容貌奇妙にして珍妙なるこの娘、親の因果が子に報い、生まれ出たるはヘビ女！お代はあとで結構だよ、ハイ入って入って～」

貴「凄い……！いろんなお店がある～！」

キョロキョロと周りを見渡しながら奥に奥にとドンドン足を進めていく。

「さあ、よってらっしゃい見てらっしゃい。西洋奇術博士が贈る、世紀の大マジックショーだよ～！」

色んな出店の宣伝が聞こえるなか、一際大きく聞こえたこの言葉。
少し先をみると銀髪に燕尾服を来た男が、舞台の上で怪しく笑っていた。

貴「マジックショーかぁ……みてみようかなっ！」

マジックショーなんて普段、テレビでしか見ることができない。
生でみられるというのなら見ておいて損はないだろう。

「ご覧頂きますこの箱、実は入れたものすべてをこの世から消してしまうという摩訶不思議な箱にございます。」

象、飛行機、戦車、なんでも消してご覧に入れましょう。どなたか、自家用ジェットをお持ちの方はいませんか？

面白おかしく言った彼の台詞に観客からもドッと笑いが起こる。

「では今夜は特別に、ここにいらっしゃるお客様を消してご覧にいれましょう！」

すると男は私と同じ年くらいの女の子を指名して壇上にあげる。

貴「こういうのってあの女の子が仕掛人だったりするんだよね……！」

わかっていてもドキドキしてしまう。

「では……そうですね。特別にもう一人……」

そういって男性は観客を見渡す。

「！(パチッ」

貴「！？」

目が合った。

「……では！そこの可愛らしいお嬢さん。貴女もどうぞ」

奇術師が私を指すので一斉に観客が私に視線を向けた。

えっ！？わ、私！？

「さぁ！どうぞ」

困った……私はあんまり目立つのは好きじゃないんだけど…………

まぁ、タダでマジックショーに参加できるんだし………我慢か。

そう思いながら私は壇上に上がる。

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「うわ………めっちゃ人いる……」