【明治東京恋伽】月夜と黒猫のワルツ (ページ28)

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特技ですか…？ページ28

鴎「何をいう。子イヌちゃんなら必ずしも優勝できるはずさ。いや、僕がさせて見せる」

しかも目標が優勝になってる………。

ハードルが遥か頭上にありすぎて引っ掛かるどころか潜り抜けることができそうだよ………。

貴「そもそも………その美人コンテストって何をするんですか？」

私が控えぎみに聞くと鴎外さんは目を輝かせた。

鴎「よくぞ聞いてくれた！毎回、美人コンテストは写真審査なのだが……今年は思考を凝らして審査員の前で特技を披露することになっている。………子イヌちゃんはなにか特技はあるかい？」

貴「特技……ですか……？」

鴎「ドジョウ掬いでも何でもいい。なにかあるかい？」

貴「ドジョウ掬いって特技なんですかね……」

苦笑いしながらも頭を捻る。
美人コンテストで優勝なんて無理かもしれないけど……期待してくれてる鴎外さんの為に一矢報いるくらいのことはしたい。

やがて………

貴「………ピアノ……」

鴎「ん？」

貴「私、ピアノなら弾けるかもしれません……記憶がないから楽譜とかは覚えてないけど……たまに勝手に指が動くことがあるので………」

鴎「おぉ、そうかい！子イヌちゃんはピアノが弾けるのかい！なら話は早い。うちに従妹が使っていたピアノがあるから早速弾いてみるといい」

私がピアノが弾ける。というと鴎外さんは大喜びしていたが、春草さんは胡散臭そうに私を見ていた。

あの顔はあれだ。

「君みたいな図太いやつにピアノなんて繊細なものが出来るの？」って訴えてる顔だ←

………自分で訳して傷ついたわぁ……。

それはさておき、私は早速鴎外さんの従妹が使っていたというピアノが置いてある部屋にやって来た。

鴎「好きなだけ練習してくれたまえ。……っとそうだ、もし、コンテスト参加者にお前と同じピアノを弾くというご婦人が現れるかもやしれん。その時のために念のため他の特技を作っておこう」

貴「……そうですね。弾けるかもとは言いましたけど……やっぱり他の人と比べると完成度は低いかもしれませんし…………でも、他の特技って？」

私が頭に？を浮かべて首を傾けると、鴎外さんは怪しげに笑った。

＿＿＿＿＿＿＿

鴎「さて、お前に作ってもらう特技なんだが……」

ピアノは一旦切り上げ、鴎外さんの部屋に移動すると、鴎外さんは本棚から一冊の本を取り出した。

貴「………ロミオとジュリエット……？？」

英語で書かれた題名をみて目をぱちくりと瞬きさせた。