♤ ページ18
「今宵も月が綺麗ですね、A嬢？」
『……えっ』
見上げると、そこには怪盗キッドがいて私の目の前に降り立っていた。
『き、キッド……！どうして……』
あなたは既にいないはずじゃ……
疑問を思いながらも、彼は私の手の甲を取りキスをする
「にゃ、キッド……来たのかにゃ……」
「A嬢が何やら抱え込んでいそうな気がしたので、何かあったのではと……ね？」
『……私が？(見透かされている……？)』
そういえば……
以前にも同じような出来事があったのを思い出す。
私が悲しいことや嫌なことがあった日に限って彼はいつの間にか訪れようになっていた。
最初は驚いたが次第に打ち解けるようになった気がする……。
キッドは……私のことを知っているのだろうか
そんなことを思う中でブロンは話を続ける。
「そりゃ、今日の昼のことに気待ってるでしょ」
そうだ、爆発に巻き込まれていた……
『……怪我、してない……？……大丈夫だった？』
怪我を我慢していたらさらに酷くなる。
そう思いまじまじとキッドの至る所を見つめていたら。
「……っ……ふ、ご心配なく。私はこの通り無事ですよ。
それより＿＿＿」
「あまりにも近いと勘違いをしてしまいますよ……？」
『……え』
無意識だった。
離れていた距離は数cmとなりあと少しで息がかかりそうなほどに近づいていた。
『ご、ごめんなさっ……』
我に返ると恥ずかしくなり私は顔を覆ってしまう。
あー、……何やってるの私……。
無意識に近づいていたなんて……
1人顔を赤くする私を見てキッドは優しい笑みを浮かべて
「……(そういうところ、昔と変わってねぇな……)」
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作者名：星 x他1人 | 作成日時：2024年1月31日 23時
