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やばいとこ連れてかれたらどうしようとか、なんか変なことに巻き込まれるんじゃ…とか、いろいろ考えていたけど


放課後やってきた七瀬はスマホの画面を見せながら


「ここに連れてって欲しいの。まだ慣れてなくて道がよくわかんないから」


と道案内を頼んできた


街の大通りから少し外れた所にあるらしい画材屋


生まれてこの方ずっとこの街に住んでいる俺にも、知らない店の1つくらいはあるらしい


「お前絵描くの?」
「これでも一応美術部だったからね」
「ふぅん。確かになんか独創的な絵かけそうな感じするわ」
「今度作間くんの似顔絵描いてあげる」
「それは遠慮する」


河川敷を歩きながらどうでもいい話を繰り広げる


考えてみれば七瀬と会うの今日でまだ2日目だ


俺、一応人見知りなのに変だな。こいつの雰囲気に飲まれたんだきっと


「作間くん寒い時の対処法知ってる?」
「そういう時はさっさと家帰ってこたつに入るのが一番だね」
「家に帰れない時もあるじゃん」
「じゃあカイロ」
「ちがう」
「マフラー?」
「全然違う」
「なんだよもう」
「正解はね、これ」
「耳?」
「うん。耳はいろんなツボが集まってるから血行よくなって暖かくなるんだって」
「へぇ。この辺?」
「違う違う、ここ」


なんの躊躇いもなく俺の耳たぶに触る七瀬


身長の高い俺を見上げて少し背伸びをして


「どう?効いた?」
「なんかちょっと暖かくなった気がする。耳が」
「時間差で効いてくるんじゃない?」
「お前いろんなこと知ってるのな」
「どうでもいいことばかりね」


ガリさんが春だなんて言ってたけどやっぱりありえない


二人の間には照れも恥じらいもない。ちょっとだけびっくりしたけど

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作者名:希翠 | 作成日時:2019年12月25日 19時

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