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「へぇ〜Aちゃん絵上手いんだ。俺の絵も描いてよ」
「描きません。私は貴方のこと嫌いなので」
「俺、そういうこと言われると俄然燃えちゃうタイプなんだよね」
「きも。貴方もしかしてドMですか?」
「あはっどうだろうねぇ〜」
目上の人である先輩に向かってこの上なく失礼な口を聞く七瀬と、なにを言われても笑って受け流す橋本先輩
告白騒動から数週間、なぜか日常になりつつある風景
「先輩、どうしたらそんなモテるんすか?」
「えぇ〜なんだろ。俺ほんとになんにもしてないからわかんない」
「またまたぁ」
「特別やってることとかないし。強いて言えば筋トレ…あそうだAちゃん、俺の筋肉見る?今度こそ惚れちゃうかもよ?」
「要りません。興味ありません。ねぇ作間くん、今日はここに行きたいんだけど」
「俺も一緒に行っていい?」
「嫌です。ねぇ作間くん、いい?」
「…うん」
気ままに静かにゆっくり昼ごはんを食べたいという、俺の些細で小さな小さな願いを、ことごとく無下にする七瀬
「…俺、やっぱ今日は教室で、」
「じゃあ私も行く」
「じゃ俺も」
「貴方学年違うんだから無理でしょ」
「七瀬も別のクラスだろ」
結局願いは叶わない。今日もまた周囲の注目の的
「井上先輩はどうされたんですか?」
「屋上で昼寝してる。午前の体育マラソンだったから疲れちゃったんだって」
「屋上って、鍵かかってるのでは」
「それがぁ、西棟のドアだけ鍵壊れてるからこっそり入れちゃうの。あ、これ内緒ね?俺が瑞稀に怒られるから」
「口が軽い人ってほんとに嫌いです」
「じゃあAちゃんのタイプ教えてよ。俺、理想の人になれるよう頑張るからさ」
「教えないし、頑張らなくていいです」
溢れたため息にすら気づいて貰えないまま、今日もまた昼休みが過ぎていく
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作者名:希翠 | 作成日時:2019年12月25日 19時