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と、その時。中庭のざわめきがさらに増した。
「やっと見つけた。帰るよ、はしもっちゃん」
「え〜瑞稀、俺今いいとこ」
「どこがよ」
かわいた笑みを浮かべる井上先輩。彼もまた橋本先輩と同じくらい有名人
2人合わせてはしみずなんて呼ばれちゃって。
今まで関わったことなかったから、そんな人達を前にして俺もガリさんも胃袋がひっくり返りそうだ
「七瀬さん困ってるし。俺のカルボナーラ伸びちゃうから。はやく」
「ちぇっ仕方ないな…じゃ、またね。Aちゃん」
「もう会いたくありません」
「ははっ、辛辣〜」
ちらっとこちらを一瞥してごめんねって軽く頭を下げた井上先輩は、そのまま橋本先輩を連れて中庭を後にした
「ほんっとになんなのあの人！」
「…お前、一応相手は先輩だからな？」
しかも天下のはしみずの片割れだぞ…
「そんなの関係ない。しつこい人ってほんとに嫌い」
「あ、そう…」
「ああもうお腹減った！作間くんいいの持ってるじゃん、ちょうだい」
「え、ちょっ！」
目にも止まらぬ速さで奪い取られた最後のひと切れ
昼休み開始と同時に走って手に入れたそれ
お値段300円のちょっとお高いそれ
味わいながら大事に大事にして食べてたやつ…
「これおいしいね〜」
「…そりゃなァ」
「どこの？」
「購買」
「ふ〜ん。今度買ってみよ〜」
もぐもぐむしゃむしゃ
うまそうに食いやがってこの…
「ねぇ七瀬さん、1個聞いてもいい？」
「いいよ。内容によるけど」
「なんで橋本先輩振ったの？」
「知らない人と付き合うの嫌だから」
「そんな言ったって、あの橋本先輩だよ？モッテモテじゃん。めっちゃかっこいいし」
「まぁ、有名ではあるみたいだけど。そんなの関係ない。それに私好きな人いるし」
「へぇ…ずばり聞くけどさ。その好きな人って、作間だったりしない？」
「おい、ガリさんなに言って、」
「違うよ」
焦る俺をよそに真顔できっぱり即答する七瀬
それを聞いてがっかりしてるガリさん
俺はというと…
「…ま、そうだよな」
「うん」
「俺と七瀬がどうこうなるとか、ないわ」
「当たり前じゃん」
当たり前、か
別にがっかりすることじゃない
うん
別に
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作者名：希翠 | 作成日時：2019年12月25日 19時
