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「ごちそうさまでした」
「いえいえ」
さすがに全額払ってもらうのは気が引けて割り勘を申し出たけれど、結局浮所くんはカードでさらっとお会計をすませてくれた。
「美味しかった?」
「うん、すっごく!」
あんなに柔らかいお肉初めて食べた。
「よかったぁ。また今度行こうね」
「次はちゃんと事前に伝えてね。もっと気合いいれた服装で行くから」
「あはは、なにそれ。Aさんは自然体が一番だよ」
「いや、でも…」
「いいよ。Aさんはそのままでいてよ」
「そう?」
「うん」
可愛い顔して案外お酒に強い彼は、それなりに飲んだのにケロッとしていて。私もお酒には強い方だけど緊張していたせいか少し頬がほてっていて。そんな私を気づかうように彼は手を繋いでゆっくり隣を歩いてくれた。
「あ、イルミネーションだ」
「綺麗だね」
「うん」
期間限定のライトアップ。きらきら光り輝く通りはそれなりに遅い時間帯だというのに結構人が多くて、中には小さい子を連れた家族連れなんかもいて。
「…浮所くん?」
「ん…?」
「なんで、泣いてるの?」
色とりどりに光り輝く景色を長めながらふと彼の方を見た時。彼の頬に一筋の涙が流れていた。
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作者名:希翠 | 作成日時:2019年10月11日 23時