11. I don’t want you to get hurt. ページ12
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『え…』
「怪我は無いか!?白羽!」
私を助けてくれたのは、伏黒君だった。
走ってきたのか、息が上がっていて汗もかいていた。今までに見たことがないくらい、必死な表情だった。
腰が抜けてもう動けない私の正面にしゃがみ、背中に手を当ててくれていた。私が震えているのを見て、自分の上着をかけてくれたりもした。
その優しさと安堵でぼろぼろと涙が溢れた。
私が泣き始めたせいで伏黒君は一度びくっとしてあたふたした。
『ぅ…うぅ、ふ、しぐろくん…あり、ありがと、う…ごめん…』
「…無事で良かった」
その一言で私はもっと涙を零してしまった。
そのときの私はどうかしていた。
伏黒君に縋るようにして抱きつき、彼の胸の中でずっと泣いていたのだから。
それに、本来であれば何故伏黒君があの化け物を認識できるのか疑問に思うべきなのだが…そんな余裕は私にはなかった。
「…白羽」
『…?』
「もう遅いし、今から帰るのもしんどいだろう。俺の家なら津美紀もいる…泊まっていくか?もちろん、ご両親の許可があればだが」
唐突なお誘いに動揺を隠しきれないが、そうしたほうが私のためでもある。
私の両親は共働きで夜遅くまで帰ってこない。
こんなにも怖い思いをして一人で寝るなんて出来ない。
もう止まりつつある涙を拭って言う。
『お願いしてもいいですか…?』
ケータイで連絡を取り、あっさりと両親からの了承は得たため本日二度目の伏黒宅お邪魔になる。
まだ怖くて立ち上がれない私を、伏黒君はおんぶして家まで連れて行ってくれた。
『重くてごめん…』
「…」
軽すぎて心配だ、と思っている伏黒の気持ちを、私は知らずにいた。
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ヒカル(プロフ) - アジア人の末裔さん» まあ…?そんな感じですね…?笑 ぶっちゃけ実話なのは前半だけですね笑 (3月9日 12時) (レス) id: 2ed2dbe4a3 (このIDを非表示/違反報告)
アジア人の末裔 - 今気づけば半分実話…ということはつまり主さんがこんな素敵な恋愛をした可能性があると…!?そう捉えていいんですかね!!! (3月7日 21時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
ヒカル(プロフ) - 奥宮。さん» 嬉しいです!ありがとうございます!!もうなんかほんとに思い付きなので…笑 そう言って頂き嬉しい限りです! (11月12日 20時) (レス) id: feae8b7922 (このIDを非表示/違反報告)
奥宮。(プロフ) - はちゃめちゃほのぼのとしてて、めちゃおもろくて好きです!!!更新楽しみにしてます!! (11月12日 19時) (レス) id: 6e2eb1af59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒカル | 作成日時:2023年11月5日 19時