検索窓
今日:3 hit、昨日:11 hit、合計:41,398 hit

53.仲直り ページ5





「ところでA、気を張るってことにトラウマでもあるのか?」

『え』




フィールドの隅っこで座り、スポーツドリンクを飲みながら尋ねてくる凛さん。



結局、少しだけ休憩を取ることにしたのだ。








『いや、無いって言ったら嘘になりますけど…』

「じゃあ、あるって言えよ。素直じゃねぇな」




凛さんには言われたく無い…という言葉を噛み殺し、今度は私が凛さんに尋ねた。




『凛さんは…お兄さんを超えたいんですよね。どうしてですか?』

「兄貴が俺の人生を狂わせた原因だから」

『えぇ…』






糸師冴さん…凛さんに何したんだろ…。



凛さんも休憩してくれたことだし、そろそろ元の仕事へ戻ろうと思った。






『凛さん、その、練習邪魔してすいません…。でも、無理しない程度にしてくださいね』

「わかってる。俺こそ…悪かった」

『凛さんは謝る必要無いですよ…!』

「…キツイこと、言ったし。泣かせたし」










凛さんは、今まで見たことないくらいに申し訳無さそうな表情をした。



「あと…嫌われてもいい、とか言うな。そもそも、お前に嫌う要素なんかねぇから」



『!』








それは…少なくとも"嫌い"じゃないってことだよね。




嬉しい…







『ありがとうございます、凛さん!仲直りですね、えへへ』








そう言って、私と凛さんは別れた。







_____


「…あー、クソ」




Aがフィールドを出たあと、俺は芝の上に仰向けになった。











「なんなんだよ、あのドンクサマネージャー…」








俺が「嫌う要素がねぇ」って言ったのを、なんて解釈したら「仲直り」になるんだよ。







天然にも程があるだろ。




少しは意識しろよ。













「やっぱアイツ、バカなんだな…」











Aの顔が赤くなってたのに対し、俺の顔はいつも通りだった。




けど、








鼓動は、速まったままだった。

54.マッチング不成立?→←52.プチ喧嘩



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (48 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
306人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ヒカル | 作成日時:2023年1月22日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。