夏 _Issei.M_ ページ23
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蝉の声が鳴り響いて
夜には蛍の声が聞こえて
向日葵が太陽に向かって咲いている
別に私が住むこのド田舎は悪いことばかりではない、と思っている
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縁側に座っておばあちゃんが切ってくれたスイカを食べながら
扇風機の風に当たっているのに
汗が吹きでるくらい今日は暑い
最高気温は35度だったっけ
雲ひとつない快晴で今日、地元名物の花火大会が行われる
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豆「ねえ何スイカ食べてんの」
『…え、もう準備終わったの？』
豆「だってもう2時だよ？お祭り始まるよ？」
『ちょっと待ってよ〜…』
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毎年見る姿だけど
毎年違うように見える
きっと一成が成長してどんどん男になってってるからだろうな
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花火大会は幼い頃から2個下の一成と行っている
家が近く親同士旧友なこともあって何かと縁がある
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豆「ねえばあちゃん僕もスイカ食べたい」
『なんだ食べるんじゃん』
豆「僕が食べ終わる前に早く浴衣に着替えてきて」
『どんだけ早く行きたいんだよ〜…』
豆「なんか言った？」
『…着替えてきます』
部屋に戻り自分で着付けをしてヘアセットをして鏡を見る
来年地元を離れる私にとって
今年で花火大会も最後になる
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『ごめんお待たせ、行こ』
豆「あ、今年は赤だ」
『可愛いでしょ〜？お古なんだけどね』
豆「じゃあ行こ」
...可愛いくらい言えよ
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地元を離れることを伝えた時も
一成は意外と反応が薄くて
離れるのが寂しいと思ってるのは、どうやら私だけみたいだった
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辺りが暗くなり
毎年2人で花火を見る穴場に向かう途中
一成が先に行ってて、と言うので先に向かった
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『…遅いなぁ、どこ行ってたの？』
豆「…ん」
『ん？』
豆「はい」
『あ、りんご飴じゃん！！え〜なんでなんで』
豆「りんご飴も赤だし、...似合ってるよ」
『え〜可愛いなぁ笑、ありがとね』
豆「…ねぇ」
『何？』
豆「…俺も来年一緒に地元離れるって言ったら、怒る？」
『何言ってんの、学校は』
豆「…通う」
『無理言わないの笑笑』
豆「…なんかこの前言われた時、頭真っ白になってさ、…Aがいないとか、考えらんない」
『んー、…寂しかった？笑』
豆「…まあ、否定はしないでおく」
『大丈夫だよ、また帰ってくるし』
豆「ほんとに？」
『うん、今日が最後の花火大会かとか思ってたけど、来年も再来年も、また一成と来たいなぁって思ってるからね』
豆「…ありがとう」
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暗くてよく見えなかったけど
寂しく笑う目が、少し潤んでた
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リエ - お話全部全部大好きです！毎日読んでます！美大生さんのお話がまた読めるようになれば嬉しいです。これからもずっと応援してます！！ (2021年8月26日 22時) (
レス) id: 011c73e51d (このIDを非表示/違反報告)
みぺ - どのお話も長編で読みたいぐらいきゅんきゅんします！いつも楽しみです！ (2021年7月4日 0時) (レス) id: 58efb808d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハム | 作成日時：2021年6月30日 19時
