第六話 計画 ページ24
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旭川の宿舎に残っていた者を数名引き連れて和田大尉とやらと列車で小樽へと急ぐ
大尉がやたらと私に話しかけてくるけれど
今の私はそれどころじゃない
瀕死？なんで？
小樽で？なんで？
頭の中はそればかりで
尾形の身がとにかく心配で、おかしくなりそうだった
「北里准尉、顔色が悪いですよ」
『月島…』
隣に座る月島の手が、私の手にそっと触れた
「手がすっかり冷えてしまっています、体調を崩してしまわれます。私の手袋をどうぞ。」
そう言って渡された手袋に指を通すとまだ暖かくて、
あの日前髪を撫でてくれた尾形の手のひらの温度を思い出し
何故だか分からないけれど、胸が締め付けられて苦しくなった
『ありがとう月島…』
「いえ…」
小樽に到着すると月島は他の兵士に、兵舎へ戻るように伝え、私にだけ着いてくるよう耳打ちした
馬に乗り、雪の降る中
大尉について行く
しばらく林を進めば、拓けた高い崖の上に出る
見慣れた顔ぶれ、同じ部隊の者が鶴見中尉を囲んで何やら話しているのが目に入った
こんな雪の中でなにをしているんだろう…
そんな疑問を大尉の罵声が掻き消す
「鶴見！どういうつもりだ！！」
「＿＿＿＿…小樽でなにをしておるのだ！？おまけに旭川から武器弾薬もごっそり持ち出してきたそうではないか！
ただでは済まさんぞ！！！」
馬を降りながらも大尉は怒鳴り続ける
ドロリ、と鶴見中尉の額から薄く白濁した液が垂れる
一名が重体？四名が行方知らず？武器弾薬？
鶴見中尉が持ち出した？
なんの話し？
私は一体…
何に巻き込まれようとしているんだろう
関わってはいけない
大きななにか
「もう庇いきれん！
鶴見！貴様が陸軍に戻る場所はもはや無いと思え！」
大尉が鶴見中尉の眼前に指を指したその瞬間
あろう事か中尉は、その指に噛みつき
噛みちぎったのだ
ダメだ、止めないと
そう思うのに
「正気ではないな」
「撃て」
大尉がそう言ったのを合図に
季節外れの雷が鳴る
つい数時間前、私の手に優しく触れた月島軍曹の手の中にある銃は
口からは煙を吐き出していて
その横に倒れている大尉らしきモノから滲む赤が真っ白な雪を染めていく
「服を脱がせて埋めておけ＿＿」
耳鳴りがする
「我々の戦争はまだ終わっていない」
鶴見中尉、あなたは一体
何をするつもりなんですか
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芝(プロフ) - 鮭マヨさん» コメントありがとうございます。とても励みになります…(;_;)これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2021年9月13日 1時) (
レス) id: ac408ee6ee (このIDを非表示/違反報告)
鮭マヨ - この作品ほど更新が終わってほしく無いと思ったの初めてです…更新めっちゃ楽しみにしてます…！ (2021年9月11日 8時) (レス) id: 9536630108 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芝 | 作成日時：2021年8月31日 2時
